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2010年5月18日

「ケージは第三者が入ってこない“本当の闘い”って感じ」
大沢ケンジインタビュー

5・29『DREAM.14』(さいたまスーパーアリーナ)にて行われるDREAMフェザー級ワンマッチ、前田吉朗戦に臨む大沢ケンジにインタビュー。DREAM初参戦に向けての意気込みを語った。【取材日:2010年5月10日】

■「散々やられて、最後にバーン」

──5・29『DREAM.14』(さいたまスーパーアリーナ)での前田吉朗戦が決定しました。DREAM初参戦となりますが、これまでDREAMに対してはどんなイメージを持っていましたか?
大沢 DREAMですかぁ……知り合いがたくさん出てるってイメージはありました(笑)。まあ、日本のトップ選手が多くて、レベルが高いですよね。僕がアメリカで闘っていた頃は、「こっち来りゃあいいのに」って思ってましたから(笑)。というのも、アメリカで闘っていたときに感じていたのが、日本人はナメられているってことなんですよ。だから、DREAMに出てる選手がこっちに来て、日本人はやるんだってところを一緒に見せてえなって思ってましたね。もちろん今はこっちで頑張りたいと思っているから、そんな気持ちはないですけどね。
──先ほどの記者会見(4月23日)では対戦相手の前田選手と顔を合わせたわけですが、どんな印象でしたか?
大沢 ちょいちょい顔を合わすんで特に変わったことはないですけど、いよいよだなってのは思いますね。もう3週間切ってますから、いよいよだなって感じです。いい選手ですからね。多分、しんどい試合になるんだろうなと思うんで、その覚悟を今、練習しながら作っている感じです。
──前田選手は「大沢選手は自分のことを殺しに来るだろうし、自分も大沢選手を殺しに行く」ということをおっしゃっていたのですが。
大沢 イヤですねぇ(笑)。まあ、どの試合見てもそうですけど、前田君はガッツリ前に出てくると思うんで、それを受け止めてバーンって投げ返すくらいの気持ちで行きたいですね。ほんと我慢大会みたいな試合になるでしょう。僕のイメージは“我慢大会”です。
──その我慢大会の結末は?
大沢 僕が勝つ。パンチで。倒して勝つしかないと思うんですよね。判定だったら、僕、負けると思うんです。前田君は器用だし、積極性も僕よりある気がするから、それを受け止めてバチコーンって引っ繰り返したいですね。
──会見でもおっしゃっていましたが、「逆転の一発を狙いたい」と。
大沢 ですね。散々やられて、最後にバーンって。そうならないように頑張りたいんですけど、やられてやられて最後ひっくり返すってイメージはしています。

■「アメリカで勝ちたいんであれば、せめてルールに慣れておくことは必要」

──今大会はケージで行われます。
大沢 いいんじゃないですか。ケージは好きですよ。
──過去6試合はすべてケージでの試合ですが、大沢選手にとってはケージのほうが闘いやすいというのはあるんですか?
大沢 闘いやすいっていうか、リングだとドントムーブがあるじゃないですか。あと、ロープを掴んだり。なんか、あるものをないこととしてやってるじゃないですか。そこにロープがあるならやっぱり掴んじゃうと思うし、リング際ならばそれをうまく利用して体を出していったりとか、反則だけど、それができる状況ならそういうことを考えちゃうときもあると思うんですよね。でも、ケージだったらそれは絶対にできないじゃないですか。
──形状的に無理ですよね。
大沢 ロープ掴むなとか、リングの外にはみ出たからドントムーブとか、それだと一回一回、試合の流れが途切れちゃいますからね。ケージは、つまんなかったらブレイクして立たせるっていうのはあるけど、第三者が入ってこない“本当の闘い”って感じがしますからね。
──先月17日のストライクフォースでの青木真也vsギルバート・メレンデス戦以降、DREAMもケージにして、ルールも北米ルールにしたほうがいいんじゃないかという意見があって、一方、リングで1R10分や四点ヒザ、さらにサッカーボールキックや踏みつけもありにして日本独自の路線を進んでいったほうがいいんじゃないかという意見もあって、その論議がマスコミ・ファンのあいだで白熱しているんですよ。
大沢 らしいですね。
──これまでアメリカで闘ってこられた大沢選手の意見をぜひお聞かせいただきたいのですが。
大沢 日本の中だけで盛り上がるのではなく、日本人が世界で勝っていきたいと思うのであれば、向こうと同じルールにしたほうがいいと思います。練習の仕方も、ヒジありヒジなしとかでもだいぶ変わりますからね。アメリカで勝ちたいんであれば、そうしたほうがいいんじゃないかというのはありますね。ただ、独自の路線で発展させていきたいというのも、それはそれでありだと思うし、それならばルールは大きく変えて違いが出たほうが面白いですよね。どっちにするかっていうのは日本のMMAが全体としてどっちを目指していくかによるんでしょうけど、僕としては、さっきも言いましたけど、アメリカに行ってナメられている感じがあったんで、それがやっぱり悔しかったんで、だから、やっぱりケージかな。アメリカ人と一緒に練習しててもそんなに実力は変わらないんですよ。じゃあ、実力差もないのになんで日本人はなかなか結果を残せないかって言ったら、例えばの話、同じ内容の仕事でも、それまでと違う会社で今までと同じ力を発揮できるかっていったら、いきなりは難しいじゃないですか?
──難しいですね。
大沢 全然知らない人ばっかりいるところでいつもどおりの力を出せって言われてもって話だと思うんですよ。それに近いと思うんですよね。すぐに馴染んじゃって力を発揮できる選手もいるんですけど、これは国民性だと思うんですけど、日本人はなかなか難しいと思います。アメリカ人はみんな友達みたいな感覚だし、どこでも力を発揮できる選手が多いんですよね。となると、同じ強さだったら、日本人は難しいですよ。アメリカで勝ちたいんであれば、せめてルールに慣れておくことは必要だと思います。
──なるほど。それでは最後に今後の目標を教えてください。
大沢 僕は61.2キロとかで試合をしていたんで、DREAMにも61キロくらいの階級ができたらいいなと思っているんです。61キロの選手たちはみんな、今の(DREAMフェザー級規定)63キロを61と65くらいに分けてくれねえかなって思ってると思うんで。今のDREAMの63の中には61の選手が少ないので、だから敢えて61を作ろうということにならないと思うんで、そのためにも勝って勝って、61から来ている選手の中にも「あっ、いいのいるな」って思われるような選手になりたいですよね。だから今回は負けられないんで、最後まで我慢して、逆転して勝ちたいと思います。


【『DREAM.14』対戦カード】
■DREAMミドル級ワンマッチ
桜庭和志(日本/ Laughter7)vsハレック・グレイシー(ブラジル/グレイシー柔術)
■DREAMウェルター級ワンマッチ
桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場)vsニック・ディアス(アメリカ/シーザー・グレイシー柔術)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
高谷裕之(日本/高谷軍団)vsヨアキム・ハンセン(ノルウェー/フロントライン・アカデミー)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
山本“KID”徳郁(日本/KRAZY BEE)vsキコ・ロペス(アメリカ/チーム・クエスト)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
所英男(日本/チームZST)vs西浦“ウィッキー”聡生(日本/STGY)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
宮田和幸(日本/Brave)vs大塚隆史(日本/AACC)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
前田吉朗(日本/パンクラス稲垣組)vs大沢ケンジ(日本/和術慧舟會A-3)