- 2011年7月9日
「総合格闘技に関して言えば、一番脂が乗るのって三十を越えてから」
大沢ケンジインタビュー- 7・16FIGHT FOR JAPAN『DREAM JAPAN GP FINAL -2011バンタム級日本トーナメント決勝戦-』(有明コロシアム)にて行われるバンタム級日本トーナメント3位決定戦に臨む大沢ケンジにインタビュー。藤原敬典戦に向けての意気込みを語った。【取材日:2011年6月21日】
■「大塚君は何故負けたのか分かっていないのかも知れませんよ」
──まずは5月のバンタム級日本トーナメント1回戦、準決勝を振り返っていただきたいのですが、準決勝直後の映像を見ると「一日2試合は気持ちが続かない」ということをおっしゃっていました。
大沢 やっぱり厳しかったですね。大塚戦に全部を集中していて、今成さんが上がってくるだろうなとは思っていたんですけど、まったくと言っていいほど準決勝のことは考えていなかったんですよ。今成さんは足を狙いに来るだろうと思っていたので、「蹴って蹴って蹴りまくろう」と思っていたくらいで。そうしたら大塚戦で足を痛めて蹴られなくなっているという(笑)。だから、正直、決勝戦はやりたくない気持ちのほうが強かったんですよね。相手が今成さんだからとかじゃなく、1試合で気持ちを使いきっていたし、蹴ろうと思っていたプランも実行できないし、とにかく足が痛かったのであまり立っていたくなかったし。そうなるともう「突っ込んでいくしかないな」という。まあ、やってみて思ったのは、一日2試合というのは、強さを競うというよりかは精神的なものも含めた人間力が試されるなと。今成さんも同じ条件で2試合闘っているわけで、「集中力がもたない」と言っても今成さんはそれで勝ったわけですからね。集中力、精神力、体力、人間としてのトータルの力が僕より優っていたということです。
──1回戦は優勝候補の呼び声高かった大塚隆史選手を完封しました。
大沢 僕の中では大塚君のやりたいことは全部潰したので完勝したつもりだったんですけど、判定が割れたじゃないですか。
──2-1でした。
大沢 僕の完勝だったという声がほとんどなんですけど、「大塚の勝ちだったんじゃないか?」とか、そういう声も聞こえるわけですよ。「大塚サイドは疑いようもなく自分たちが勝っていたと思っていたらしい」という声も聞こえて、実際、判定が割れているので、もうちょいやりようがあったのかなと。判定に文句があるわけじゃないですよ。判定というのは人に判断を委ねることで、それが嫌なら倒せばいいだけの話ですからね。だから大塚君に一人入ったときも、ジャッジに対してどうこうという気持ちはまったくなくて、「自分とは違う試合の見方があるんだな」と。そこが見えていなかった自分に対して反省するだけでしたから。
──「大塚君のやりたいことは全部潰した」とおっしゃっていましたが、どういったプランで大塚戦に臨んでいたのですか?
大沢 僕がサウスポーに構えたときというのは、いつでも速いミドルを打てるフォームになっているのです。野球で言うと、ピッチャーが振りかぶってからボールを投げるんじゃなくて、ボールが手から離れる直前の状態でずっと構えていて、そこからビューンってボールを投げ込むような。
──相手からすると今にも速いミドルが飛んで来るように見えるということですか?
大沢 そうそう! しかも、左ミドルと前蹴り、その試合では出せなかったんですけど左ストレート、この3つが同じフォームから出せるので、相手にとっては的が絞りにくい。どの攻撃かは分からないけど何かが今にも飛んできそうだという雰囲気は相手に伝わっていて、実際こっちもそのどれかを出そうとしているので、相手は簡単に入ってくることができない。入ってきたらきたで、ミドルや前蹴りをバンバン当てる自信もありますし。でも、大塚君は何故負けたのか分かっていないのかも知れませんよ。「なんか分からないけど行けなかった」という感じだと思います。
■「篤君より藤原選手のほうが嫌だなというのはあります」
──当初、3位決定戦の相手は山本篤選手だったのですが、負傷のため欠場。山本選手の代わりに藤原選手が出場すると聞いたときはどんなことを思いましたか?
大沢 正直、闘い方がガラッと変わるかもしれないし、藤原選手のイメージがあまり僕にはないので、ちょっと大変だなと思いましたね。今の僕の闘い方というのは、誰が相手でも自分の闘いをするというのではなく、しっかり相手を研究して自分のスタイルをアジャストさせるという闘い方なんです。だから、あまり時間のない中で、あまりイメージのない選手と闘うのは大変だなと。そういう意味では、篤君より藤原選手のほうが嫌だなというのはあります。試合の組み立てがしづらいという意味で。
──1回戦で負けた藤原選手と3位決定戦で当たることに関して違和感はありませんでしたか?
大沢 それは一切ないですね。今成さんとの試合は、僕は藤原選手が優勢だったかと思っていたくらいですので、そこはやる意味もあると感じています。
──「イメージがあまりない」とおっしゃっていましたが、情報が少ない中でも藤原選手に対してはどういった印象を持っていますか?
大沢 よく今成さんを凌いだなっていう。僕は極められましたからね。今成さんを凌いだというのは本当に凄いことだから、それは評価しないなんてありえないでしょう。しかも、チャンピオンですよね。
──ZSTのバンタム級チャンピオンです。
大沢 だから、勝負根性があるのか、勝ち方を知っているのか、何か強さがあるんだと思います。
──記者会見で藤原選手は師匠である秋本じんさんの仇を討つということを言っていました。
大沢 なんか無理やりっぽいですよね(笑)。そんな前の話を出して「嘘でしょう!?」って思いましたもん。それを僕も一緒になって言うと無理やり盛り上げているように見えて、なんか嫌だなと(苦笑)。
──藤原選手のコメントに対してスカし切っていました(笑)。
大沢 そのスカすのもわざとっぽく聞こえちゃうと嫌だったので、なるべく本当に思ったことを答えようと心がけました。
──藤原選手の「KOか一本しか考えていない」という発言に対しては?
大沢 ZSTの人って多分、みんなそうですよね。僕もそうありたいんですけど、試合中、冷静に「いつも行けないなぁ……」と思いながら闘っていたら試合が終わっているというね(苦笑)。でも、今成さんとの試合のときみたいに、集中しきれないで、早く終わりたいからガンガン行くみたいな感じで行くと、ああいう結果になるし。だから、難しいところですよね。冷静でいながら前に出られたらいいんですけど……。まあ、やっぱり僕は勝てばいいや。
──この3位決定戦に勝利すれば、次の世界トーナメントへの切符も手に入れます。これは大きなモチベーションになると思うのですがいかがですか?
大沢 それはこの前の1回戦、準決勝もそうでしたよね。1回戦に勝てば3位決定戦には上がれるわけですから、正直、準決勝はそんなに勝ちに執着していなかったところもあるんですよ。足も下につけない程腫れて痛かったし、7月の試合に向けて決定的な怪我もしたくなかった。でも、3位決定戦はそうはいかないですからね。今回勝てば次に繋がるわけですから、それは理解しながら闘いたいと思います。ただ、やっぱり一月半はキツいっす。まだ怪我もあって体を引きずりながら練習していますからね。もうちょっと時間くれるなら、今よりも自信を持って藤原選手と闘えると思うんだけどな〜(ニヤニヤ)。
──ひょっとしてこれは、いつもの「リスク背負ってる」アピールですか?(笑)。
大沢 もう今年で35ですからねぇ、僕も。なかなか疲労も抜けなくて(笑)。でもね、真面目な話、しっかり時間をもらえれば、年齢はあまり関係ないですよ。
──ほう!
大沢 僕がよく思うのは、二十代前半くらいで「世代交代だ」とか言う子がいますけど、「いやいや、まだ君には無理だから」って思うんですよね。それは何故かと言うと、「知らないこと多すぎるじゃん」って。こっちは経験を積んでいるから、そこに巻き込んじゃえば負けないよっていうのはあるんですよ。総合格闘技に関して言えば、二十代からやり続けたとして、一番脂が乗るのって三十を越えてからだと思うんですよね。やればやるほど技術って上がっていくし、特に総合ってやることが多いから、すべてを積み重ねてからが本当の勝負なんですよ。一つ一つの技を磨いていって、試合の中でその技を選んだり、それを出すタイミングであったりというのは、すべて経験。レスリングとかボクシングとか一つのことが抜きでている人は、最初はそこだけを活かして突っ走れるかもしれないですけど、勢いだけじゃそのうちに限界がきますよね。これは人生と一緒ですよ。
──人生と同じ?
大沢 ええ。仕事や家庭、人付き合い、生きて行くためには色々なことが求められるじゃないですか。仕事一つにしても、営業力だったりお金の計算だったり上司や部下との付き合いだったり、いろいろなことが求められるように、総合もボクシングやレスリング、柔術とか、色々なことが求められるわけですよ。そうすると、一つが抜きでているからって調子に乗っていると、エラい目に遭うときが必ず来ると思いませんか? 他にも大事なことがあるのに、調子に乗っているとそれに気づかないことが多いんですよね。昔の俺がそうでしたから(笑)。この前の大塚戦で言うと、僕は大塚隆史という相手をしっかり見て、大塚君がどういうふうに闘うかということをしっかりイメージしながら、調整してきているわけですよ。でも、大塚君は多分、僕のことを見ていなかったんですよね。自分を高めることだけしか考えないで練習していたと思うんです。でも僕は、彼のようなスタイルにはこうしようというのを準備していたんですよね。彼はいつものように打撃とタックルを混ぜてきたけども、それが全然できなかった。なぜなら、それは僕のことを見ていなかったから。トップどころの選手同士が高いレベルで試合をするのに、それは無理でしょうって話ですよ。こっちは相手のことを練っているんだから。若いと特にそうかもしれないんですけど、相手のことを見るのってちょっと嫌だったりするんですよ。
──相手に合わせて戦術を練ることが嫌だと?
大沢 そう! どんな相手でも自分のスタイルで勝ちたいんですよね。でもそれはロマンですから。例えば、ピッチャーがスピードだけを追い求めて、真っすぐだけでねじ伏せてやろうとするのと同じですよ。でも、相手を打ち取ることを考えたら、相手の得意球や癖を研究して、真っすぐだけじゃなくて変化球や緩急つけるのを覚えたりしないとダメですよね?
──高いレベルになればなるほど難しいんじゃないかと思います。
大沢 そこのロマンを捨てないと、今は勝てても、いずれ勝てなくなると思います。人気の出る選手にはなるかもしれないけどね。断っておきますけど、僕は大塚君のことを高く評価しています。ああいう自分を出し切れずに負けるっていうのは本当に悔しいと思うし、頭もいいから今回の敗戦からいろいろ考えると思うんですけど、そうしたら本当に手が付けられないくらい強くなると思いますよ。そのときはもうやらないですけどね(笑)。
──最後にいい笑顔をありがとうございます(笑)。3位決定戦、楽しみにしています!
【FIGHT FOR JAPAN『DREAM JAPAN GP FINAL -2011バンタム級日本トーナメント決勝戦-』対戦カード】
■DREAMバンタム級(-61キロ)日本トーナメント決勝戦
所英男(日本/リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)vs今成正和(日本/チーム・ローケン)
■DREAMバンタム級(-61キロ)日本トーナメント3位決定戦
大沢ケンジ(日本/和術慧舟會 HEARTS)vs藤原敬典(秋本道場ジャングルジャンクション/チームZST)
■DREAMフェザー級(-65キロ)タイトルマッチ
高谷裕之(王者/日本/高谷軍団)vs宮田和幸(挑戦者/日本/BRAVE)
■DREAMライトヘビー級(-93キロ)タイトルマッチ
ゲガール・ムサシ(王者/オランダ/チーム・ムサシ)vs泉浩(挑戦者/日本/プレシオス)
■DREAMライト級(-70キロ)ワンマッチ
川尻達也(日本/T-BLOOD)vsドリュー・フィケット(アメリカ/Team Scrub)
■DREAMライト級(-70キロ)ワンマッチ
光岡映二(日本/フリー)vsブルーノ・カルバーリョ(ブラジル/CM SYSTEM)
■DREAMウェルター級(−76キロ)ワンマッチ
マリウス・ザロムスキー(リトアニア/LONDON SHOOT FIGHTERS/MMA Bushido)vs桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場)
■DREAMライトヘビー級(-93キロ)ワンマッチ
水野竜也(日本/フリー)vsトレヴァー・プラングリー(南アフリカ/American Kickboxing Academy)
■DREAMヘビー級(+93キロ)ワンマッチ
トッド・ダフィー(アメリカ/グラッジ・トレーニング・センター)vsニック・ガストン(アメリカ/8 8 Striking System(エイトプラスエイト・ストライキング・システム))
★★★7・16『DREAM JAPAN GP FINAL』、チケット絶賛発売中!!★★★
FIGHT FOR JAPAN『DREAM JAPAN GP FINAL -2011バンタム級日本トーナメント決勝戦-』
◎日時/2011年7月16日(土)開場16:00 開始17:00(予定)
◎場所/有明コロシアム
◎主催/(株)FEG、(株)リアルエンターテインメント
◎チケット料金/全席指定・消費税込
・VIP(ビップ)=100,000円【特典:専用入場ゲート・グッズ付】
・RRS(ロイヤルリングサイド)=22,000円
・スタンドS=10,000円
・スタンドA=5,000円
(※1歳より入場券が必要です)
◎チケット発売中!!
◎チケット発売所/
・DREAM webサイト(http://www.dreamofficial.com/)
・DREAM携帯サイト(iモード Yahoo!ケータイ EZweb)
・イープラス(http://eplus.jp/battle/) ※パソコン&携帯
・チケットぴあ(電話0570-02-9999 <Pコード=594-790>)
・ローソンチケット(電話0570-084-003 <Lコード=38170>)
・CNプレイガイド(電話0570-08-9999)
・レッスル池袋店(電話03-3989-0056)(http://www.wrestle.jp/)
・書泉ブックマート(電話03-3294-0011)(http://www.shosen.co.jp/)
・フィットネスショップ格闘技(電話03-3265-4646)(http://www.fs-kakuto.com/)
・チケット&トラベルT-1(電話03-5275-2778)(http://www.t-1.jp/tk/)
・後楽園ホール(電話03-5800-9999)(http://www.tokyo-dome.co.jp/hall/)
・公武堂(電話052-241-2511)(http://www.koubudo.co.jp/)
・バトルロイヤル(電話03-3556-3223)(http://www.battleroyal.jp/)
・Laughter7(電話03-6807-1770)(http://www.laughter7.com/)
・新日本プロモーション(http://www.shinnichi-pro.co.jp/)
◎お問合わせ/DREAM事務局03—5775—5065
★★★スカパー!、J:COM等で7・16『DREAM JAPAN GP FINAL』をPPV完全生中継!!★★★
【『DREAM JAPAN GP FINAL』スカパー!放送概要】
■スカパー!の「スカチャン162」で完全生中継!
①7月16日(土)17:00~@Ch.162(初回放送)
②7月16日(土)25:00~@Ch.179(再放送)
③7月19日(火)18:00~@Ch.180(再放送)
④7月20日(水)10:00~@Ch.162(再放送)
⑤7月23日(土)9:00~@Ch.180(再放送)
⑥7月25日(月)23:00~@Ch.173(再放送)
⑦7月27日(水)26:00~@Ch.172(最終回)
視聴料金:3,150円/番組(税込) ※各放送の視聴に対して毎回3,150円が掛かります。
■「スカチャン190HD」(ハイビジョン)でも完全生中継!
①7月16日(土)17:00~@Ch.190(初回放送)
②7月19日(火)18:00~@Ch.190(再放送)
③7月23日(土)9:00~@Ch.190(最終回)
視聴料金:3,150円/番組(税込) ※各放送の視聴に対して毎回3,150円が掛かります。
■スカパー!e2 もハイビジョン、「スカチャン800」(HD)で完全生中継!
①7月16日(土)17:00~@Ch.800(初回放送)
②7月19日(火)18:00~@Ch.800(再放送)
③7月23日(土)9:00~@Ch.800(最終回)
視聴料金:3,150円(税込) ※視聴チケットのお申し込みで3回ともご覧いただけます。
☆初回放送前日7/15(金)、視聴チケットの事前購入申し込みを受け付け中!
スカパー!ユーザーの方で、チューナーに電話線を接続されていない場合でも、電話やWEBから事前にPPV・PPSがお申込みいただけます。また、チューナーに電話線を接続されている方は、放送当日でも番組購入を申し込めます。
■全国規模のケーブルテレビ局「J:COM」で初めてDREAMを完全生中継!
①7月16日(土)17:00~@Ch.930(初回放送) ※スカチャン162
②7月20日(水)10:00~@Ch.930(最終回) ※スカチャン162
視聴料金:3,150円/番組(税込) ※各放送の視聴に対して毎回3,150円が掛かります。
■その他、スカパー!光、ケーブルテレビチャンネルの「エラボ」でも完全生中継!
詳しくは、スカチャンホームページをご覧ください。
www.sukachan.com/battle/
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