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2009年7月17日

島田裕二DREAMルールディレクターが参戦!
『DREAM.10』開催直前スペシャル!! 「いきなりジャッジメント!」座談会【前編】

7月某日、7・20『HEIWA DREAM.10 ウェルター級グランプリ2009決勝戦』(さいたまスーパーアリーナ)開催を直前に控え、オフィシャルサイト特別企画、『DREAM.10』直前座談会が行われた。参加者は、笹原圭一DREAMイベント・プロデューサーに佐伯繁DREAM広報、そしてゲストとして島田裕二DREAMルールディレクターをブッキング! 『DREAM.10』の見どころはもちろん、レフェリングやジャッジについても語ってもらった。それでは、『DREAM.10』直前、「いきなりジャッジメント!」座談会、スタート!!

◎出席者:笹原圭一(DREAMイベント・プロデューサー)、佐伯繁(DREAM広報/DEEP代表)
◎ゲスト:島田裕二(DREAMルールディレクター)

■「KIDvsウォーレンは、ウォーレンが試合を動かしていた」(島田)

──『DREAM.10』直前スペシャル座談会ということで今日はお集まりいただきました。前回の『DREAM.8』直前座談会では柴田勝頼選手をゲストにお迎えしましたが、今回のゲストはなんと……DREAMルールディレクター、島田裕二!!
笹原&佐伯 ブゥ〜〜〜!!!!
島田 ……(不敵な笑みを浮かべつつペコリ)。
──今回はせっかく島田レフェリーにお越しいただいたわけですから、大会の見どころだけでなく、DREAMのレフェリングやジャッジについても聞いてみたいと思います。
島田 おうっ、なんでも聞いてくれ!
──じゃあ、早速聞きたいんですけど、『DREAM.9』の山本“KID”徳郁vsジョー・ウォーレンを裁いたのは島田さんでしたよね?
島田 うん。
笹原 あの試合の勝敗のポイントについてですね?
──はい。
島田 確かに、見方によって意見の分かれる判定だったよね。
佐伯 KIDvsウォーレンはイマナー(今成正和)の試合の後だったので、ボクは控え室のモニターで見ていたんですよ。で、今後の興行的にもKID選手に勝ってもらいたいなぁと思って見ていたんだけど、これはどう見ても3-0でウォーレンが勝ったなと思ったんだよね。だから、ジャッジが一人、KIDに入れたときに、「えっ!?」と思ったんですよ。でも、リングサイドで見ていた関係者がぞろぞろと控え室に帰ってきたときに、「KIDの打撃がビシバシ入っていた」「KIDの勝ちだったんじゃないか!?」という話をたくさん聞いた。これはどういうことかというと、つまり、テレビ画面から試合を見る人と、会場の後ろのほうから試合を見る人と、リングサイドの近くから見る人とで、見方がまったく違うということなんですよ。ということは、2-1というジャッジは大いにあり得る。これは別の話になっちゃうけど、この前、K-1 MAXの城戸(康裕)選手と4月のK-1 MAX福岡大会についての話をしたんですよ。
島田 また珍しいツーショットだね(笑)。
佐伯 城戸選手とは佐藤(嘉洋)選手の試合(vsドラゴ戦)について話したんだけど、ボクはその試合を会場の後ろのほうから見ていて「あぁ、これは佐藤選手、キツイなぁ…」と思って見ていたら、実際に佐藤選手は負けた。でも、城戸選手は「あれは全然、佐藤選手の勝ちでもよかったんじゃないですかねぇ?」って言うんだよね。
笹原 へぇ〜! そのとき城戸選手はどこで試合を見ていたんですか?
佐伯 リングサイド。場所によって見え方が全然違うんだなぁと思ったんだよね。
島田 場所によって見え方が違うってことは、自ずと闘いを見るポイントも違ってくるんですよね。で、KIDvsウォーレンを一番の至近距離で見た感じでは、あの試合はウォーレンが試合を動かしていたんですよ。テイクダウンを何回も取っていたしね。で、KIDはというと、ファイトスタイルを変えてムエタイスタイルだったので待ちの姿勢。しかも、グラウンドで下になったとき、やはりホールディングが目立った。そこをジャッジは見たんですよね。積極性がないように見えたという点が、ポイントに大きく響いたんだと思います。
佐伯 確かに、ちょっとテイクダウンされすぎちゃった印象はあるよね。
島田 しかも、簡単に取られすぎちゃっているんですよね。さらに、KIDは上からパウンドを受けてカットもしてしまった。ボクシングもそうだけど、「カット=ダメージ」と判断されちゃうんですよ。確かにKIDも打撃を当てていたんだけど、印象的にダメージを与えているのはウォーレンのほうが上……とジャッジは判断したと。ただ、非常に僅差、微妙な判定だったと思うね。


■「冷静さを欠いているセコンドが多いというのは本当に問題」(佐伯)

──改めて確認しておきたいんですけど、DREAMの判定の基準でもっとも大きなポイントというのは……。
島田 「KO、一本を狙う姿勢」。つまり、「ワーク・トゥ・フィニッシュ」の部分が、判定になった際の一番大きなポイントとなる。
佐伯 DREAMは「KO、一本を狙う姿勢」が一番だけど、そこは各イベントによって考え方が違うよね。でも、そこはイベントによって統一性がないほうがいいと思う。そのイベントの考え方やそのイベントに対しファンが何を求めているかによって基準は違ってくると思うから、そこはイベント毎にカラーが違っているほうが面白いと思うな。
笹原 私もそう思いますね。
佐伯 だから別に、判定自体ないルールでも全然ありなんだよね。
──ZSTは、時間切れの場合、判定はなく引き分けですね。
島田 この前、中国の格闘技イベントに招待されて行ってきたんですけど、そのイベントも判定がなくて、時間切れ=ドローだったね。
佐伯 なんでこんなことを言うかというと、これは愚痴になるけど……自分もDEEPというイベントをやっていてよくあるんだけど、僅差の判定になると負けた方は色々な言い分が出てくる。だから、判定に対するクレームを軽減させる意味でも、5ジャッジ制というのはありかもしれないなと最近思っている。
──現在、総合格闘技イベントの大半は3ジャッジ制ですね。
佐伯 そこで2-1で割れたら、“1”のポイントを入れたジャッジが矢面に立たされるでしょ? でも、その幅を持たせることでモメる可能性が低くなるんじゃないかなと。ジャッジ陣にはジャッジの基準をさらに深めてもらいつつ、DEEPではとりあえずタイトルマッチのみ5ジャッジ制にしようかと思っているんだよね。
笹原 確かに、単純に考えて、たくさんの人が判断して優勢かどうかを判断すれば、説得力はありますよね。
島田 “マジョリティ”ってやつだね。そう考えると、5ジャッジシステムは面白いかもしれないなぁ。
佐伯 あと、これは言っておきたいんだけど、冷静さを欠いているセコンドが多いというのは本当に問題。エキサイトしすぎちゃって自分のところの選手のヒットしたポイントしか覚えてないから、セコンドは「これは勝ってる!」と思っても、周りは全然そんなこと思っていないケースが多々ある。
島田 それは本当にありますね。これはPRIDEのときから行っていることなんだけど、DREAMではラウンド間に「ポイント取られていますよ」とサブジャッジにセコンドへ言いに行かせているんですよ。でも、熱くなりすぎているセコンドから「んなわけねえよ!!」と一蹴されることが、昔から本当に多い。
佐伯 その人も冷静になってもう一回見たら、絶対に違うと感じると思うんだよね。冷静だったらラウンド間で「このままだと負けるから、盛り返そう」ということも言えると思うんだけどなぁ……
笹原 それは非常にもったいないことですよね。

■「サッカーボールキックも踏みつけも、決定的な場面で繰り出されることが多い」(笹原)

──『DREAM.9』のホナウド・ジャカレイvsジェイソン“メイヘム”ミラーは、メイヘム選手のサッカーボールキックでジャカレイ選手が出血。そのままノーコンテストとなりましたが、DREAMではサッカーボールキックは反則なんですよね。
島田 そういうこと。
──そこでお聞きしたいんですけど、昨年3月にDREAMが旗揚げして新たにDREAMルールができたわけですが、「グラウンド状態でのヒザ」は残って、「サッカーボールキック&踏みつけ」が反則となったのはどういった理由からだったんですか?
島田 サッカーボールキックというのは残酷性の高いシーンが生まれやすい。DREAMは地上波テレビコンテンツという側面もあるので、ゴールデンタイムにサッカーボールキックや踏みつけは合わないと判断して反則にしました。で、グラウンド状態でのヒザはOKというのは、昔と違って技術が進化していてあれだけで試合が終わる、致命傷となることはもうほとんどないんだよね。
笹原 めっきり減りましたね。
島田 むしろ現在は、抑えてヒザを入れている間にサブミッションに行くとか、次への展開のための“繋ぎ技”という感じだよね。ヒザを入れている選手は、入れつつその次の展開を考えている場合がほとんどだと思うよ。むしろ、足を取られて引っ繰り返される可能性もあるから、みんな安易には行かないんだよね。受ける側もすでにもう防御法ができているということから、グラウンド状態でのヒザはOKにしたと。そういう理由ですね。
笹原 グラウンド状態でのヒザが解禁されたのが、2001年3月の『PRIDE.13』からですから、8年もの間に技術は驚くほど進化しているってことですよね。でも、サッカーボールキックも踏みつけも、決定的な場面で繰り出されることが多いんですよ。
島田 その前で試合が終わっているようなケースがほとんどだよね。
笹原 そう。相手が完全に防御できないような状態で喰らうと、相当危険だと。
──思い返してみると、スタンドでのパンチでダウンして、もう明らかに意識が飛んじゃっている選手にサッカーボールキックが入っているシーンが思い出されます。
島田 そのようなシーンでサッカーや踏みつけが入ったら致命傷になる可能性がある。だからPRIDEのときは、そうなりそうなことを事前に察知して止める準備を整えていましたね。


■「トーナメントに関しては、ダメージを最小限に抑えて次のラウンドに上げたい」(島田)

──今回はウェルター級GP決勝ラウンドが行われますけど、トーナメントとワンマッチでレフェリングが変わるということはあるんですか?
島田 トーナメントに関しては、ダメージを最小限に抑えて次のラウンドに上げたいから、早めにブレイクしたりとか、パウンドで決まるときも早めに止めようというのはレフェリーの共通認識としてある。1回戦から2回戦、2回戦から決勝ラウンドまでも、その間に時間が空くとはいえ、1回戦、2回戦からそういうところは意識しているよ。ワンマッチだったら「もうちょっと展開を見てみようか」という場面でも、トーナメントだったらブレイクしようとか、そういうところだよね。
──ブレイクのタイミングも各イベントによってまちまちですよね。
佐伯 そこはさっきも言ったように、各イベントの考え方、そのイベントに求められているものによって変わってくるよね。あと、言うてもまだまだ総合格闘技自体、誕生してから時間が経っていないし、ちょうどいいものっていうのがまだないというのもある。DEEPなんか、DREAMの5倍は多くブレイクしているもん(笑)。
笹原 DEEPやZSTは早いですよね。
佐伯 ウチは例えマウントを取っていても、「ふぅ〜」って一息休んだだけで「ブレイク!」だから。あと、もちろん選手によっても変わってくると思うんですよ。例えば、(エメリヤーエンコ・)ヒョードルvsミルコ(・クロコップ)のような間合い地獄のような試合もあれば、まだまだ無名の選手同士がダラダラして「おい、お前! 何してんだ!」って試合もある。選手のレベルによって、ブレイクのタイミングも違ってくるのは当然だよね。ヒョードルvsミルコなんて、見合っているだけなのにあのヒリヒリとした緊張感がたまらなかったんだからね。

【「いきなりジャッジメント!」座談会・後編に続く!! 次回は『DREAM.10』で行われるウェルター級GP決勝ラウンド、ワンマッチについて熱くトーク!! 後編は、7月18日(土)更新予定。乞うご期待!!】