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2010年2月12日

どうなる、2010年! “世界のTK”高阪剛氏も参加!!
「DREAM2010年展望」座談会【前編】

2010年DREAMのスタートとなる3・22『DREAM.13』(さいたまスーパーアリーナ)開催を約2ヵ月後に控えた1月下旬、オフィシャルサイト特別企画「DREAM2010年展望」座談会が行われた。参加者は、笹原圭一DREAMイベント・プロデューサーに佐伯繁DREAM広報、そしてゲストとして“世界のTK”高阪剛氏。DREAMの不惑トリオが、各階級の見どころについて語った!!

◎出席者:笹原圭一(DREAMイベント・プロデューサー)、佐伯繁(DREAM広報/DEEP代表)
◎ゲスト:高阪剛(DREAMテレビ中継解説者/ALLIANCE代表)

──今日は2010年DREAMの展望について語っていただこうということでお集まりいただきました。今回のゲストは、DREAMテレビ中継解説でお馴染み、“世界のTK”高阪剛さんです! 高阪さん、今日はよろしくお願いします。
高阪 よろしくどうぞ!
佐伯 高阪さんとオレはね、同い年なんですよ!
笹原 その体型の差を見るととても同い年には見えませんね(笑)。
佐伯 こちとらもうインシュリン打っとるからね!
笹原 自慢するとこじゃないですよ(笑)。それに引き替え高阪さんは今も筋骨隆々ですからね。ちなみに、今、体重は何キロくらいあるんですか?
高阪 今は94とかそのぐらいですね。
笹原&佐伯 ちょうどいいじゃないですか!
高阪 なんですか、それ(笑)。
佐伯 DREAMもウチ(DEEP)も今年はライトヘビー級のトーナメントやるからね。
笹原 しばらく休んでいろんなケガも癒えていると思いますし、本当に健康的な生活をしていると聞いているので、そろそろどうですか?
高阪 ないですないです! ないですよ!!(笑)。
佐伯 そうやって必死に否定するあたりがまた……(ブツブツ)。
高阪 さっ、先に進みましょう!
──了解しました(笑)。さて、3月22日の『DREAM.13』でDREAMもちょうど3年目に突入します。高阪さんから見て今のDREAMというのはどう映りますか?
高阪 日本人選手にとっては魅力あるイベントだと思いますね。単純に昔と比べて日本人選手が大きな舞台に出る機会が増えたわけですから。PRIDEというのは、やはり重い階級というのがメインだったので、日本人が出られる機会というのはほとんどなかったじゃないですか。でも今は、特にライト級なんかはほとんど日本人選手だけで、しのぎを削れるぐらいのレベルになってきている。日本人選手にとってはすごくいい状態なのかなと思いますね。
佐伯 ですね。特に軽量級は世界と闘える日本人選手が多いから、日本独自のイベントを作っていこうってなると、今のDREAMの路線というのはいいと思う。でも、そこで重要なのは、実は外国人選手なんですよね。キャラがあって何より強い外国人選手がいるから、そういった日本人選手も光る部分があるわけで。そういった意味では、ここ2年間というのは、まだ圧倒的な外国人スターというのはいなかったけども、徐々にキャラが立ってきて、名前を覚えてもらえる外国人選手も増えてきた。さらにここに新たな選手も出てくるって中では、3年目にして念願の外国人スター選手が誕生するんじゃないかという期待はありますね。
笹原 外国人スター選手というのは、DREAMの世界観を構築する上で必要不可欠だと思っています。3年目ってことで言うと、PRIDEで言ったら『PRIDE.5』なんですよね。それこそ西田操一選手がファールカップを忘れましたとか、なんか呑気な感じだったんですよ(笑)。それぐらいのんびりしたスピードだったんですけど、今そのスピードでやっていくなんて許されないじゃないですか。なので、これは2年目でも言えると思うんですけど、一刻も早くDREAMの世界観というものを確立させなければいけないと感じています。
──一昨年、去年はGPというのが年間の軸としてありましたが、今年は何を軸に展開していこうと考えているんですか?
笹原 今年もGPはやる予定です。93キロ以下のライトヘビー級GPですね。それが8人になるか16人になるかはわからないんですけど、2大会か3大会にわけてライトヘビー級GPをやろうかなと思っています。あと、ヘビー級はタイトルマッチですね。初代王者を決めるタイトルマッチをやろうと思っています。加えて、空位になってるミドル級のタイトルマッチも。それらがすべて行われると、全階級にチャンピオンが誕生することになるんですね。青木選手と川尻選手のライト級タイトルマッチもどこかのタイミングで入りますし、今回の『DREAM.13』ではビビアーノ・フェルナンデスvsヨアキム・ハンセンのフェザー級タイトルマッチも行われると。ですので、今年はライトヘビー級GPも含めてタイトルマッチというのが一つの大きな軸になっていくと思います。

■2010年DREAM展望①「フェザー級(−63.0kg)」

──ここからは各階級の見どころを語っていただきたいのですが、まずは昨年GPが行われたフェザー級。『DREAM.13』では、ヨアキム・ハンセン選手が階級を変え、ビビアーノ選手の保持するフェザー級王座に挑戦することが決まりましたね。
笹原 普通に考えて、フェザー級においてのハンセン選手はバケモノだと思いますよ。他の選手にとっては脅威でしょうね。
佐伯 だろうね。ビビアーノとハンセンが頭一個抜けていて、あとは日本人選手が中心になると思うんですけど、日本人は横並び状態。高谷裕之、所英男、山本“KID”徳郁、今成正和、宮田和幸、DJ.taiki、前田吉朗、大塚隆史、山本篤、ウィッキー聡生……、ざっと挙げただけでもこれだけたくさんの選手がいて、その中でそれぞれ合う合わないがあるから、誰が一番強いのか分からない。それぞれ相性があって、もうジャンケンのような感じだと思いますよ。去年のGPだって、もう一回シャッフルしてやったら、ビビアーノの優勝は固いかもしれないけど、それ以外はまったく変わった結果が出ると思うし。
高阪 個性的な選手が多い階級だから、手が合うとか合わないとか、やりやすいとかやりにくいというのは、モロに出るでしょうね。
笹原 こういった混戦状態の中から抜け出てくる選手っていますよね。そういうのって、何かポイントがあるんですかね?
高阪 う〜ん、一概には言えないですけど、分かってないのにできちゃってる選手っていうのは上がってくる可能性はあるんじゃないかなぁ。自分はこういう選手なのでこういう攻撃したほうがいいというのが、まだ理解できてないんだけど、できちゃっているような選手。例えば、所英男。動いていて、多分、自分が何をしているかいちいち確認しながら動いているわけではないと思うんですよ。でも、気が付いたら極めちゃっている、とか。日本人が外国人選手に勝つためには、そういった部分がポイントになるんじゃないかなと思うんです。外国人選手と真正面からぶつかり合って技のやり合いをやっても、ちょっと勝つのは難しいと思うんですよね。
──では、その日本人選手の中で注目選手を挙げるとすると誰ですか?
佐伯 今年怖い存在になるんじゃないかなと思うのは、宮田和幸。宮田がDJ戦(『DREAM.11』)でやったあのスタイルで闘っていったら、勝てる選手はなかなかいないんじゃないかなと思うね。

笹原 多分、この階級の中では抑え込みの力は一番でしょうね。立つのが上手なDJ選手が、ほとんど何もできなかったですからね。
佐伯 逆に同じレスラー同士でないと、ちょっと勝てないかなという気がする。
高阪 宮田って、相手にとっては「こうしてくるだろうな」というのを予測しやすい選手だと思うんですよ。で、「あ、やっぱり来たな」と相手は思うんですけど、だけど勝てちゃうというのが宮田の強さ。だから、逆に言うと、それを真っ向から防がれちゃったときにどうするかというのが、宮田にとっては課題になってくるんじゃないかと思いますね。
佐伯 まあでも、それを誰が防げるかですよね。
高阪 日本人ではなかなか難しいでしょう。だって、DJ戦のときだって、宮田は試合直前に肉離れを起こしてるんですよね。
笹原 それでもあれだけ抑え込めて完封できるんですから、化け物ですよね。
佐伯 あと、やっぱり大塚は強いと思う。まだ歳も若いし、ビビアーノにしか負けてないですからね。DEEPでは三島(☆ド根性ノ助)も完封したし、金原(正徳)も完封したし、メジャーの舞台に慣れちゃったら、突き抜ける可能性は持っていると思いますよ。プラス、いい意味で頭悪いからね(笑)。
笹原 あの手のスタイルってファンからは非難を浴びがちじゃないですか。「つまらない試合しやがって」という。そうなったときに、ちょっとハートが弱い選手だとスタイルを変えようとしたりしますけど、大塚選手はまったく耳に入らないタイプだと思うんですよ(笑)。周りの声に惑わされない強さはあると思います。
高阪 自分は、前田吉朗をもう一回見てみたいと思いますね。10月の試合(『DREAM.12』チェイス・ビービ戦)も完勝でしたし、ケージをうまく使いながら自分の試合をやり通したんですよね。いろんな引き出しがまだまだあるんじゃないかなと思うんです。
笹原 話しているとクレバーな感じまったくしないんですけどね(笑)。
佐伯 しないね(笑)。
笹原 でも、やっぱり格闘技になると一変するんですよね。1月のDEEP大阪大会には前田選手の所属するパンクラス稲垣組の選手もいっぱい出ていて、前田選手はセコンドをやっていたんですけど、指示がすごく細かくて的確なんですよね。それを聞いていると「やっぱり頭いいんだな」というのは感じました。正直、見直しました(笑)。
──笹原さんは気になる選手はいますか?
笹原 やっぱり、階級を変えてフェザー級に来るハンセン選手ですよね。ライト級でやっていたときも67〜68キロであれだけやれたわけですから、それが63キロに落としてきたらビビアーノ選手ですら止められないんじゃないかなと思います。
高阪 寝技の仕掛け方とか、スタンドから寝技になる“際”の使い方とか、そのへんも全部できて、なおかつあれだけの身体能力があるわけですから、適正体重でのハンセンというのは見てみたいですよね。
佐伯 でも、落とせばいいっていうわけでもないよね。階級を下げると、パワーは活かせるかもしれないけど、周りのスピードが速くなるから、今までスピードが武器だった選手がなかなか結果を出せなくなるというのはよく聞くじゃないですか。
高阪 うんうん。あと、その階級が自分の体とフィットしないっていう場合もありますね。
──自分の体がその階級にフィットしないというのは、具体的にどんなふうに感じるものなんですか?
高阪 簡単に言うと、足が浮いた感じがするんですよ。リングに上がったときに体が浮いちゃう感覚があって、勇み足が多くなっちゃうんですよね。頭で考えるよりも先にドンドン体が動いちゃうんで、何か形になったのに、それをいちいち「さっきは何であんなふうに動いちゃったんだろう?」って試合中に考えちゃうと、それが今度は迷いになるんですよ。それを考え直さずに、「体が勝手に動いてくれたんだから、それはそれでOK!」と割り切れるのならまだいいんですけどね。
一同 なるほど〜。
高阪 頭と体がリンクしていないことを気にし過ぎて思ったようなパフォーマンスができなくなる、というのはあると思います。でも、試合前からそういうことも起こるだろうと頭の中にインプットした状態で試合をしちゃえば、余裕もできますからね。ハンセンの場合はどんな感じなのか、そこの部分は注目だと思います。

■2010年DREAM展望②「ライト級(−70.0kg)」

──さて、次はライト級ですが、やはりこの階級は青木真也vs川尻達也のタイトルマッチが一つのポイントとなっていくと思うのですが。
笹原 そうですね、はい。
──実現のタイミングというのはどのへんを考えているんですか?
笹原 今年の中盤頃になると思います。大会自体は3月、4月、5月、7月、9月、10月で開催する予定ですから、5月、7月、9月あたりになるんじゃないかと思います。
──昨年大晦日は青木選手、川尻選手ともに完勝でした。高阪さんは両選手の試合を見てどのように感じましたか?
高阪 二人とも、自分の試合のやり方というのを去年一年で多分、掴んだと思うんですよ。でも、勝つための試合のやり方プラスαがないと、チャンピオンだったりとか、もう一個上の位置にというのは、なかなかいけない。だから大晦日の試合を見てて思ったのは、両者とも来年からすごく大変な時代に突入するというのを、なんとなく感覚で分かっているんじゃないかということなんです。川尻が試合後に、完勝だったんだけども試合内容について反省していたというのも、その表れだと思うんですよ。もちろん勝つことが大前提なんですけど、チャンピオンというのはそのイベントの顔になるわけですから、プロとしてアピールできる試合というものに向けて、もう一つ高いレベルのところを考え出しているんだろうなと感じました。
笹原 そうですね。特に川尻選手は去年一年でほんとに変わったと思います。魔裟斗選手とK-1ルールで闘うとか、本人の中ではいろいろ迷いもあったと思うんですけど、そのハードルを越えて、自分がDREAMの主役になるというのを一年掛けて磨いてきましたからね。それは本人にとって大きなプラスになったと思います。青木選手にしても、ビトー“シャオリン”ヒベイロ戦、ヨアキム・ハンセン戦、廣田瑞人戦と連続でしたからね。キッツイ相手ばかりで、その内容も含めて試練となった一年でしたから。
高阪 そんな二人の去年一年の試合、出来事というのは、お互い全部見てきているだろうし、かなり複雑な状態で試合をしないといけないだろうなというのも感じていると思うんですよ。大勢の中の一選手としてならばもちろん勝ちに行くことだけを考えればいいんだけども、DREAMというイベントでこれまでやってきた二人の業績とかを考えると、「はい、タイトルマッチですね」というわけにもいかないというのも分かっていると思うんですよ。
佐伯 しかも、DREAMライト級は「DREAMの顔」と言ってもいい階級だからね。
高阪 なおかつ、他の選手もいっぱい下に控えているわけだから、そういう選手たちにも「見たか!」とアピールしなくてはいけない。すごくいろんな思いが複雑に重なってのタイトルマッチになると思います。
佐伯 もし本人たちにそういう意識がなかったとしても、必ず周りがそういう意識で見るからね、当然。
高阪 どちらにしろ、このタイトルマッチに臨む二人に課せられたものというのは厚みのあるものになると思うんですけども、その分、やり甲斐のある試合だとも思うんです。それも多分、二人とも分かっていると思いますよ。
笹原 高阪さんがおっしゃったとおり、そういったいろんな意味が込められている試合だというのは二人とも分かっていると思います。DREAMとしても一つのターニングポイントとなる一戦でしょうね。
──最注目のタイトルマッチですね! 先程、高阪さんが「他の選手もいっぱい下に控えている」ということをおしゃっていましたけど、その中には去年頭角を現した菊野克紀選手も含まれると思います。
笹原 間違いないですね。
──師匠である高阪さんから見て、現在の菊野選手の状況というのは?
高阪 元々、克紀のスタイルというか試合でやろうとしていることというのは軸が決まっているので、今はそこにどう肉付けをしていくかという作業をやっているところなんですけど、正直、まだ足りないところもいっぱいあるんです。それをいかにして本人が見つけ出して自分のものにしていくかが、今年の課題だと思います。今までは、特にエディ(・アルバレス)と試合をする前までは、これから何をしたらいいのか、なんとなくは分かっていたんだけど、ハッキリとは見えなかったんですよ。でも、エディとの試合でその輪郭がハッキリしだした。試合で勝つため、なおかつ自分のスタイルに肉付けするためには、どういった練習をしていけばいいのか、どういった技術が必要なのかというのが、ちょっとずつ分かりだしているという状態ですね。
──でも、アルバレス戦に勝利して大晦日という意気込みもありましたし、あのタイミングでの敗戦というのは相当悔しかったでしょうね。
高阪 そりゃあ悔しかったと思いますけど……でも、正直、自分はできるだけ早い段階でああいう状態を迎えさせたかったんですよね。
笹原 と言いますと?
高阪 DREAMライト級は最激戦区なので、もちろん世界を見てもライト級の選手は身体能力、技、精神力で飛び抜けたものを持っている選手が多いので、そういう意味ではできるだけ早く世界を触らせないといけないと思っていました。もちろん、触れるだけの準備ができていると踏んだから、自分たちは「エディ・アルバレス戦、行こう!」ということになったんですけどね。
──佐伯さん、菊野選手はDEEPライト級のチャンピオンでもありますよね。
佐伯 そうだね。でも、やっぱり……チャンピオンにはDREAMの舞台であっても負けてほしくないよね。
高阪 そうですよね……。
佐伯 他のイベントもそうだと思うんだけど、二番手が行って負けてもいいけど、一番手が行って負けるのは許されないですよ、やっぱり。でもね、これだけは言っとく! ウチの選手の相手というのは、確実に強い選手が当たるんですよ!!
一同 ハッハハハハ!
佐伯 なーんか知らないですけど、PRIDE時代からいきなり厳しいのが当たるんだよね。「1〜2試合、様子を見てみるか」というのは、確実にない!
笹原 ないですね。
佐伯 「ないですね」って、またハッキリ言うね(笑)。でも、どっちにしても、強くなかったらそこで生きていけないからね。ただね、これはちょっと話が飛んじゃうけど、これまでの例で言うと、メジャーで闘ってから防衛戦とかでDEEPに戻ってきたときに、大体負けているんですよ。メジャーでやってきた自信からなのか、モチベーションの差なのかは分からないですけど、大体チャンピオンになってDREAMに行って、で、戻ってきたときに防衛できないんですよね。
──この前の『DEEP45』でも池本誠知選手は防衛に失敗してしまいました。
佐伯 いっぺん上に行ったらモチベーションを作りづらいだろうけど、そこはやっぱり強さを見せつけてほしい。だから、ウチで一番防衛しているのってMIKUちゃん(※DEEP女子ライト級王者)ですからね。逆に言ったら、その上がもうないというのがありますから。
──そういう法則があるんですね。
高阪 ただ、克紀に関しては、そこらへんはあまり心配していないんですよ。本人自身が、今後のこととか、自分がどうなるべきか、どうあるべきかというのに、物凄く興味があるんですよ。例えば、DREAMに上がって、DEEPに戻ってっていうのも、克紀にとっては修行の一環と捉えているんですよね。
c菊野選手は今年、DEEP王座の防衛戦も予定されているんですよね。
佐伯 はい。だから、そこも注目してもらいたいです。頼むよ、TK!!
【「DREAM2010年展望」座談会・後編に続く!! 後編は、2月13日(土)更新予定。乞うご期待!!】