- 2010年2月13日
ポイントは外国人ファイター!! 頑張れニッポン!!
「DREAM2010年展望」座談会【後編】- 2010年DREAMの開幕となる3・22『DREAM.13』(さいたまスーパーアリーナ)開催を約2ヵ月後に控えた1月下旬。DREAM中継解説でお馴染み“世界のTK”高阪剛氏をゲストに迎え行われたオフィシャルサイト特別企画「DREAM2010年展望」座談会。後編では、ウェルター級、ミドル級、ライトヘビー級、ヘビー級の展望について語っているぞ。それでは「DREAM2010年展望」座談会【後編】、どうぞ!!
◎出席者:笹原圭一(DREAMイベント・プロデューサー)、佐伯繁(DREAM広報/DEEP代表)
◎ゲスト:高阪剛(DREAMテレビ中継解説者/ALLIANCE代表)
■2010年DREAM展望③「ウェルター級(−76.0kg)」
──フェザー級、ライト級と展望を語っていただきまして、次はウェルター級です。
笹原 ウェルター級には長南亮選手が今回DREAM初参戦します。アメリカ帰りの長南選手がどこまで見せてくれるのか注目したいですね。その長南選手も含め、桜井“マッハ”速人選手、白井祐矢選手、池本誠知選手、やっぱり日本人選手に頑張ってほしいですね。
佐伯 ウェルター級までだろうね、幅広く期待が持てるのは。
笹原 でも、去年のウェルター級GPを見て、「外国人選手、強いなぁ」という印象が強いんですよ。
高阪 自分もそこは予想外でした。ウェルター級も、タイプ的に言うと、郷野(聡寛)のような試合をしないと日本人もキツイんじゃないかなぁ……と思っちゃいましたね。
佐伯 ほんとそうだと思います。ウェルター級で日本人が勝っていくには、郷野のスタイルが一番だと思う。アウトボクシングやってスタミナ削ってポイント取って、という。
高阪 ただ、そのスタイルも、一本取るとかKOで勝つというのを前提にしていかないと、相手へのプレッシャーにならないんですよね、まったく。そういう意味でも、郷野はすごいなと。
佐伯 その郷野だって、今後、分からないですからね。DREAMにって話もなくはないと思うし。
──郷野選手がDREAMウェルター級に参戦してきたら、これまた面白い展開になるでしょうね。
笹原 で、そこになんですけど、新たな強豪外国人選手がウェルター級に転向します。アンドリュース・ナカハラ選手が階級を落としてくるんですけど、これはやっかいだと思いますよ。この階級の台風の目になる可能性が大いにあると私は思っています。
高阪 ナカハラ! ナカハラは強いですよ。去年、大山(峻護)との試合(『DREAM.8』)のときにタックルの切り方が若干変わっていたんですよね。レスリングのタックルの切り方じゃなくて、立った状態で相手をストップさせるというか、自分のバランスを崩さない動き。寝技の動きに付き合わないような動きなんですけど、それって下半身がよっぽど安定していないとできないんですよね、圧されちゃうんで。今までグラップリングや総合格闘技の経験が少ないのに、相手を止められる、サイドステップで回り込めるというのは、よっぽどの体の強さがある証拠なんですよ。それと、打ち下ろしのパウンドがすごく強そうだったので、拳も硬そう。ポテンシャルは非常に高いと思いますね。
佐伯 (マリウス・)ザロムスキーvsアンドリュースとか見たいね!
高阪 あっ、それ面白そう!!
──そんなリアクションを見ていると、やっぱり日本人選手は厳しいんじゃないかと思ってしまうのですが……。
高阪 いやいやいや、まだまだ日本が世界と拮抗できる階級だと思いますよ、ウェルター級は。
佐伯 長南にマッハ、選手間の評価が滅法高い白井だってこの前ウチのチャンピオンになったし、ウチにも今後期待できる選手はたくさんいますからね。
笹原 日本人選手の頑張りに期待したいです。
■2010年DREAM展望④「ミドル級(−84.0kg)」
──ミドル級は、冒頭に話があったように、空位となっている王座決定戦が行われるんですよね。
高阪 これは(ジェイソン“)メイヘム(”ミラー)と(ホナウド・)ジャカレイの再戦ということですか?
笹原 可能性としては、それが一番高いですね。そうなったら、前回はノーコンテストになっているので、再々戦ということになります。
高阪 自分はジャカレイの試合をもっとしっかり見てみたいんですよね。一昨年のミドル級GPのときは、まだまだ総合の経験が足りない状況だったと思うんですよ。決勝戦でのゲガール(・ムサシ)との試合も下からの蹴り上げで勝負が決まりましたけど、あれはあれでゲガールがすごいんですけど、ジャカレイが寝技に入るときの動きのパターンをもういくつか持っていれば、あんな正面から行くこともなかったと思うんです。
笹原 あのときは経験不足だったから、蹴り上げを喰らっちゃったと。
高阪 あのときに“ちょっと待つ”ということが試合でできたならば、また違ったと思うんですよね。ジャカレイってすごく一生懸命攻めて試合をしていて、攻め続けている中で隙が見つかって技を極めたりしているんですけど、逆に相手をわざと動かすとか、そんなことが今後できる、もしくはもうできるのであれば、また面白くなると思います。
佐伯 オレは(メルヴィン・)マヌーフだね。いくら寝技が強いと言われている選手が相手でも一発で終わる可能性があるから、それはやっぱり魅力ですよ。
高阪 興行に必要なタイプの選手ですよね。マヌーフのような選手がいないと、いい意味でその階級がゴチャゴチャになってくれない。小さくまとまっていっちゃったらつまらないですからね。
──笹原さんはいかがですか?
笹原 今年はこの階級に初参戦の外国人選手を積極的に入れようと思っています。
佐伯 これはまだ言えないけど、相当楽しみな選手がリストアップされているよね。
笹原 はい。でも、これはミドル級に限らず、どの階級にも初参戦外国人選手を上げていきたいと思っています。
佐伯 逆に、この階級になってくると日本人選手はちょっとキツイかなぁ……。でも、去年、ウチのチャンピオンが勝っていますからね、(ムリーロ・)ニンジャに。
高阪 あっ、(福田)力!
佐伯 体格的にはああいう選手がミドル級に来ないと厳しいよね。それでようやく五分五分だと思う。あと、素晴らしい日本のグラップラーがいるじゃないですか。アブダビを制した男が。
高阪 菊ちゃん(菊田早苗)ね!
佐伯 菊田選手も今後どうなるか分からないよね。フリーですから、今。いまだにGRABAKA全員の中で菊田が一番強いって聞きますからね。
笹原 それはほんとよく聞きますよね。
高阪 菊ちゃんの寝技って全然、今の寝技ではないんですよね。でも、異常に強いという。パウロ・フィリオのような感じというか。
佐伯 あと、この階級には三崎(和雄)だっているし、今後のマット界がどうなるかによって状況は変わっていくだろうね。
■2010年DREAM展望⑤「ライトヘビー級(−93.0kg)」
──ライトヘビー級は、今年GPを行う予定があると。
笹原 そうですね。GPの中心は、間違いなくゲガール・ムサシ選手になるでしょう。あと、ストライクフォースからの選手も入ってくる予定です。日本人選手の出場というのも考えているんですけど……、この階級になると本当に日本人が少ないんですよね。
佐伯 ライトヘビー級になると、さすがにキツいわな!
高阪 ライトヘビー級って、たぶん100キロちょいくらいから落としてくると思うので、ヘタしたら試合のときに98キロとかで試合をしてる状態かもしれないですからね。
佐伯 そんな中で誰が日本人選手の中でGP出場候補になるかというと、現実的に考えて、まずは水野(竜也)が候補に挙がるだろうね。
笹原 水野選手はマット(・ヒューム)先生のところで修行中ですけど、マット先生が大絶賛していますからね。
──今年はDEEPでも2月28日からライトヘビー級トーナメントが開幕しますし、そことリンクする予定は?
笹原 (リンクは)もちろんするでしょうね。そのDEEPライトヘビー級トーナメントの優勝者に1枠用意しようとか。
佐伯 ウチのトーナメントは2月28日に一回戦をやって4月17日に準決勝&決勝を行うんですけど、優勝者がそこからDREAMのほうのGPに出るとなると、すごい過密スケジュールになると思うんですよ。でも、意外とそういうところから出てくる奴のほうが強かったりするんだよね。試合をこなしてきて勢いに乗っているから。不思議なもんで、「こいつのほうが1試合多くやっているけど……」っていうヤツのほうが勝ったりする。
高阪 試合慣れというか、リング慣れっていうのはありますね。でも、ライトヘビーだとダメージが結構でかくなるから、ダメージが残った状態で上がってくると微妙だなぁ。
佐伯 でも、逆に一発で終わる可能性もありますからね。
高阪 ダメージが少なく上がってきたら面白い存在になるでしょうね。
佐伯 DEEPのライトヘビー級トーナメントで言うと、もし中西(良行)が優勝したら面白い存在になると思う。まだ23〜24歳だし、すごい可能性を感じるんですよ。
高阪 ウチにも練習に来ることがあるんですけど、練習を見てて、まだまだできることがいっぱいありそうな気がします。
佐伯 あと、(ベルナール・)アッカさんも面白いですよ。
笹原 アッカ選手もここ数年で、ホントに強くなってますよね。
佐伯 今、DEEPで連勝中だからね。この前の小阪俊二戦(『DEEP CAGE IMPACT』)で拳を怪我しているので、ウチのライトヘビー級トーナメント1回戦には間に合わないのでリザーブからの出場になると思うんですけど、気になる存在ではありますよね。
■2010年DREAM展望⑥「ヘビー級(+93.0kg)」
──ヘビー級は初代王座決定戦を行う予定とのことですが、となるとまず名前が挙がるのはアリスター・オーフレイム選手だと思うのですが。
笹原 そこは間違いないですね。
──高阪さんはリングスの頃からアリスター選手を見ていると思うのですが、ここまでの選手になるという予測みたいなのはあったんですか?
高阪 「あっ、コイツ、可能性あるな」という匂いはしていました。兄貴がヴァレンタイン・オーフレイムでアリスターはその弟なんですけど、技の細かさとか種類で言うと、リングスに出てきた頃からアリスターのほうが全然上だったんですよ。
笹原 当時はお兄さんのほうが活躍していましたよね。
高阪 はい。兄弟でフロントチョークやハイキックとかが得意だったんですけど、兄貴のほうはそれにこだわりすぎちゃって負けちゃうってパターンがあったんです。だけどアリスターは、それもうまく使いつつ他の技も混ぜながら、という試合をしていたんですよ。それでも勝てなかった時期があったんですけど、元々そういう考えを持っていたのが、今になって活きてきたなという感じはしますね。
──そんなアリスター選手に対して、じゃあ誰が対抗馬になるかという話になってきますが。
笹原 昨年の大晦日に話題に上がりましたけど、アンドレイ・アルロフスキー選手だとかティム・シルビア選手だったりとか、日本ではまだ見たことのないヘビー級のトップ選手を出したいですよね。あと、ポイントとしては、(エメリヤーエンコ・)ヒョードル選手とどこでどう絡むかですよね。高阪さんに聞きたいんですけど、PRIDEでヒョードル選手と闘ったあとから見て、ヒョードル選手ってどこがどう変わっているとかあるんですか?
高阪 根本的には何も変わってないと思います。元々、あんな感じでそのまんまなんですよ。構えも変わってない、試合のやり方も変わってない。ただ、今が勝負時だということが分かっていて、今たたみ込んでいるんだろうなというシーンは目に付きます。「今、ここが勝てる瞬間だ!」というところでたたみ込んで、そうじゃないときは敢えて外したりとか、要は経験がモノを言うようになってきてるのかもしれません。
佐伯 強いねぇ、ヒョードルは。でも、アリスターだったら分からないかもしれないっていうのもある。
笹原 私もあると思いますね。
高阪 いや、でもなぁ……多分、ヒョードルのほうが強いような気がします、自分は。なんとなくですけど。
笹原 どっちが強いのかは見てみたいですよね。
佐伯 実現は簡単じゃないけどね。
笹原 でも、世界的に見て間違いなく今一番ヘビー級で見てみたいカードですからね。頑張っていきたいと思います。
──今年はライトヘビー級、ヘビー級と重たい階級も充実しそうですね。
笹原 そうですね。そこも盛り上げていこうと思っています。
高阪 あっ、あと自分の解説に関して言うと、自分はずっとヘビー級で試合をしていたので、ヘビー級の選手ならではの見方ができると思います。
一同 なるほど!
高阪 例えば、ヘビー級の寝技の展開で「なんで、今コロッと返されちゃったの?」とかっていう場面があったりするんですけど、それって相手の体の厚みがありすぎてしっかり抑え込めないことから起こりうるものだったりするんですよ。あと、パンチというか伸ばした手が触れただけのように見えても、相手のヒザがカクンと落ちちゃったり。それは拳が硬かったり、腕を振る力が強すぎて、触っただけのように見えるんだけど相手が落ちちゃうこともあったりするんです。「なんで今、勝てちゃったの!?」とか「なんで今、負けちゃったの!?」とか、ライトヘビーやヘビーになると「なんで!?」というのが結構起こるんですよね。「うわっ、すげえ!! なんでぇ!?」という部分を自分は解説できると思うんで楽しみですし、皆さんも楽しみにしてもらえばなと思います。
──期待しています!!
■2010年DREAM展望⑦「外国人スター選手」
──という感じで各階級の見どころを語っていただきましたが、改めて2010年、ここに注目したいという選手、階級があれば教えてください。
高阪 自分はウェルター級がどうなるかというのが気になりますね。去年一年でファンの皆さんもウェルター級という階級の見方が変わったと思うんですよ。去年のGPを見ていて、「えっ、ウェルターにもこんなバケモノがいるの!?」みたいな感じがあったと思うんです。76キロって言ったら、普段生活していて周りにも全然いる大きさじゃないですか。だから、なんというかな、もっと人間っぽい試合が多いと思っていたと思うんですよ。
笹原 はいはいはい、よく分かります。
高阪 でも、「なんだこいつら!?」とビックリした人が多いと思うんです。そういったバケモノを今年も見られると思うし、海外から新たなバケモノも来るって聞いていますし、そこに日本人がどう食い込んでいくか? これはもうワクワクしますよね。
佐伯 そうだね。冒頭にも言ったけど、やっぱり今年のポイントは外国人選手だと思う。どの階級も外国人選手がその階級の基本を作っていって、それに対して日本人選手がどうするか? ってところだと思います。
笹原 まったく同意見です。今年は、強くて、お客さんを呼べる外国人選手。PRIDEのときのヒョードル選手、ミルコ・クロコップ選手、ヴァンダレイ・シウバ選手とか、日本人選手じゃなくてもお客さんがお金を払って見たいと思えるような外国人スター選手を2人、3人くらいは生み出したいと思います。
佐伯 あと、去年、一昨年にDREAMに出て結果を残せなかった日本人選手の中にも、もう一回やれば、全然強くなっている選手もいますからね。そういった選手も見たい。
笹原 それはもちろん。外国人スター選手が出てくると日本人選手にとっては厳しい状況になってくると思うんですけど、そことの闘いは絶対に避けられませんし、頑張ってほしいですね。まずは、2010年の幕開けとなる3・22『DREAM.13』にご期待ください!!
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