- 2011年1月17日
「私の中にはもう一つ、ファンタジーな目標があります」
ゲガール・ムサシインタビュー- 昨年大晦日『FieLDS Dynamite!! 〜勇気のチカラ2010〜』で行われた京太郎とのK-1ヘビー級ワンマッチに勝利したゲガール・ムサシにインタビュー。DREAMライトヘビー級王者に今年の抱負を語ってもらった。【取材日:2011年1月1日】
■「短い準備期間にしてはよかったほうだと思います」
──昨日は見事な勝利でした! 今年も最高の年明けになったんじゃないですか?
ムサシ そうですね。『Dynamite!!』に出るのは今回で3度目でしたけど、全部勝てているので、毎年素晴らしい年越しを日本でさせてもらっています。
──昨日の京太郎戦を振り返ってみていかがですか?
ムサシ 大会を終えてトレーナーと話をしたのですが、「2週間しかキックボクシングのトレーニングができなかった割にはよかったと思うよ」と言われました。正直言って、昨日の自分のパフォーマンスに満足しているかと言われれば、そうでもありません。6〜7週間の準備期間があったらもっといいパフォーマンスができたと思いますが、まあ、短い準備期間にしてはよかったほうだと思います。
──拳を合わせてみた京太郎選手の印象を教えてください。
ムサシ 非常にタフで強くて、心も強い選手、という印象を受けました。なぜなら、京太郎選手は2Rにダウンを奪われているのにも関わらず、3Rはそのダメージを感じさせないほどの勢いで立ち向かってきたからです。私としてはもっとパンチの展開を増やしたかったんですけど、京太郎選手は試合を通じて闘いにくく、難しい相手でした。2Rに少しだけパンチの展開を作ることができ、そこでダウンを取れることができたんですけどね。
──京太郎選手のローキックは効きましたか?
ムサシ 京太郎選手はタイミング良くローキックを蹴っていましたし、それで私も試合の中でスリップをしまったので、皆さんは効いたと思っているのでしょうが、特にダメージはないです。あのローで京太郎選手はポイントを稼げたとは思いますけど、自分に対してダメージを与えたかというと、そこまでではありませんでした。
──08年大晦日の武蔵戦に続いて、K-1ルールでK-1ファイターを相手に2連勝です。
ムサシ 私の持っているキックボクシングの技術を活かして勝てたことは嬉しいです。自分の技術に対する自信が深まりましたからね。ただ、一つ言っておきたいのは、これはK-1vsMMAの試合ではないということです。例えば、キックボクシングのスキルに長けた選手がMMAに挑戦して勝つこともあるでしょう。ミルコ・クロコップ選手がそのいい例ですよね。だからといって、じゃあK-1の選手がMMAの選手より強いのかと言ったら、そういう話ではありません。同様に、私が京太郎選手に勝ったからと言って、MMAの選手がK-1の選手より強いということにはなりません。選手は一人一人特色があり、得意分野は違います。つまりは個人の闘いです。私はキックボクシングをやっていましたので、それをMMAの試合でも使えますし、K-1ルールの試合もできるという。ただそれだけの話です。
──将来的にK-1に挑戦したいという気持ちはあるんですか?
ムサシ いえ、それが自分のゴールではありません。自分のゴールはあくまでMMAのヘビー級チャンピオンになることです。将来、K-1で試合ができるくらい体重が増えていったら考えますが、それは難しいことです。昨日の京太郎選手との試合も、体重差がなければもっといいパフォーマンスを見せられたと思います。京太郎選手は104キロで、私は97キロでした。K-1に専念するならば、K-1だけの練習をして、なおかつ体重を増やさなければいけません。そうすれば高いレベルで試合ができると思いますが、私の焦点はK-1には定まっていません。だから、そうすることはないでしょう。ただ、『Dynamite!!』はチャレンジの場でもあるので、そこでまたK-1ルールで闘う機会があればやりたいと思います。
■「パウンド・フォー・パウンド最強は……」
──今後の展望を聞かせてください。
ムサシ 今の目標としては、2月のストライクフォースでの試合です。そこで勝ったら次はタイトルマッチに挑戦することができますので、そのタイトルマッチでストライクフォースのベルトを獲得したいと思います。その後はライトヘビー級のままでDREAMとストライクフォースの両方のタイトルを防衛していきたいと思います。その2つのベルトを獲得できたら、自分が世界で最も強い選手の一人だということは誰も否定できないと思います。さらにその後、引退前の最後の2年間はヘビー級で闘いたいと思います。つまり、引退するときはヘビー級で、です。あと、私の中にはもう一つ、夢というかファンタジーな目標があるのですが、ボクシングのタイトルも欲しいなって思っています。というのも、私は若いときに、まずボクシングを始めたからです。MMAで有名になったら、もしかしたらボクシングへのドアが開けて、最短でタイトルマッチまでに漕ぎ着けられないかな、と思っています。例えば、タイトルマッチまで30試合しなければいけないところを、なんとかもうちょっと早くならないかな、とか。ただ、先程も言ったように、これは絶対にそうしたいというよりもファンタジーに近い話ですけどね。
──私からもファンタジーな質問をさせてもらいたいのですが、ゲガール選手が考えるMMAのパウンド・フォー・パウンド最強は誰だと思いますか?
ムサシ う〜ん…………、何人かいますが……ジョルジュ・サンピエール選手だと思います。あと、(エメリヤーエンコ・)ヒョードル選手もそう。ジョルジュ・サンピエール選手は、立ち技、レスリング、サブミッション、すべてにおいて高いレベルのテクニックを持っています。そのテクニックを活かしてたくさんの勝ち星をあげています。一方のヒョードル選手はアグレッシブにパワーで相手をねじ伏せるタイプです。ですので、テクニックの観点からそれを考えると、パウンド・フォー・パウンド最強はジョルジュ・サンピエール選手なのかな……と思います。
──ゲガール選手自身はどうですか?
ムサシ 私は、パウンド・フォー・パウンド最強と言われるよりも、「最強のウチの一人」と言われながらミドル級、ライトヘビー級、ヘビー級のすべてで成功を収めたいんです。それはたくさんのファイターができることではありませんので、そこが自分と他のファイターとの違いになると思いますからね。
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