- 2011年6月16日
「僕が最初に『もうスッキリしたからいいや』って言うわけにはいかない」
川尻達也インタビュー- 7・16FIGHT FOR JAPAN『DREAM JAPAN GP FINAL -2011バンタム級日本トーナメント決勝戦-』(有明コロシアム)にて行われるDREAMライト級ワンマッチ、ヴィラミー・シケリム戦に臨む川尻達也にインタビュー。4月のストライクフォースでの敗戦を、川尻は今、どう受け止めているのか? クラッシャー再始動に向けての意気込みを語った。【取材日:2011年6月8日】
■「期待を裏切った中で『もう一回、一番を目指す』という気にはなれなかった」
──7・16FIGHT FOR JAPAN『DREAM JAPAN GP FINAL -2011バンタム級日本トーナメント決勝戦-』(有明コロシアム)でのヴィラミー・シケリム戦が決定しました。試合を約1ヵ月後に控えた現在の心境から聞かせてください。
川尻 カードが早く決まったので、「やるじゃん、笹原さん!」って感じです(笑)。チケットの売上も考えたら、やっぱりカード発表は早いにこしたことはないですよね。できれば毎大会、今回くらいの感じでやっていただければ、ファンも盛り上がりやすいと思うし、選手も盛り上げやすいと思います。
──試合に向けての準備もしやすい?
川尻 直前に正式決定したとしても、その前にオファーがあれば「試合があるだろう」と想定して練習しているのでそこまでは問題ないんですけど、やっぱり選手もファンを呼んでなんぼじゃないですか。試合が正式決定するまではファンに試合をアピールすることもできないので、そういう意味では早く決まったほうがいいですよね。例えば、トークイベントに出たときとかも、ファンと試合の話題で盛り上がれるし、それでひとりでも多くのファンが会場に足を運んでくれればいいと思うので。
──なるほど。川尻選手は4月にストライクフォースでギルバート・メレンデス選手と対戦したわけですけど、今、あの敗戦をどのように受け止められているのかなという……。
川尻 いやもう、「負けちゃったな」という感じしかないです。引きずってはいないですよ。逆に一回、切れたというか、この前リング(5・29『DREAM JAPAN GP』)でも言ったように、あの試合の後は「もういいかな……」という気持ちもありましたから。
──ご自身の中で結論を出しかけたと?
川尻 完膚なきまでにやられたので、逆にスッキリしちゃった部分があって、「もう潮時なんじゃないかな?」「辞め時かな?」というのはありましたね。
──進退を考えた末、現役続行を決断された。「潮時かな?」と思ってから気持ち的に盛り返す、何か転機となったことはあったんですか?
川尻 ずっと自問自答していたんですよ。4月中は特に。「潮時かな?」と思ってから「もう一回やろう」と思ったのにはいろんな要素があったんですけど、ひとつは、PRIDE時代からお世話になっている大会関係者の方がいるんですけど、その方とマンツーマンでめしを食いに行ったんですよ。5月の中旬頃だったかな? そのときに自分の正直な気持ちをその方に伝えたんです。格闘技を始めてからずっと一番を目指してやってきた中でメレンデスに完膚なきまでに負けて、気持ち的にもう一度、一番を目指せないのであれば、格闘技をやる意味がないんです、と。格闘技自体はいろいろな楽しみ方があるし、体を動かして楽しむだけというのも全然ありだと思うんです。
──単純にスポーツとして楽しむというか。
川尻 そうです。だけど、僕がプロとして格闘技をやってきたのは「世界で一番強くなりたい」と思っていたからなんです。それがメレンデスにああやって負けて、みんなの期待を裏切った中で、「もう一回、一番を目指す!」っていう気にはなれなかったので、「もういいかな」と。「一番を目指せないのであれば格闘技をやっている意味はないと思っています」という話をしたんです。その方はPRIDE、DREAMをやってきて、今、日本の格闘技界が瀕死の状況になってしまって、別に格闘技じゃなくても食っていける人だと思うから、その間にいくらでも「もういいかな」と思っていても不思議ではないと思ったんです。でも、その方は「俺は一回も『もういいかな』と思ったことがない」と。その言葉を聞いて、「たしかにそうだな」と思ったんですよね。PRIDEが休止になった時点でこの業界を離れてもよかっただろうし。でも、今、この苦しい状況でも格闘技イベントを続けているのは、格闘技への情熱だったり熱意があるからなんだなと思ったんです。それでちょっと考え直したというか、日本の格闘技界がこういう状況になっても、ファンは応援してくれているし、選手だって誰ひとりとして諦めていない中で、僕が最初に「もうスッキリしたからいいや。じゃあ、みんな頑張ってね〜」って言うわけにはいかねえだろと。
■「目の前にあるシケリム戦に絶対に勝つ」
──それが現役続行を決意したひとつの要因なんですね。
川尻 あと、山田(武士トレーナー)さんにも言われたんですよ。山田さんとめしを食っているときに「『もう潮時かな』って思っています」って言ったら、「えっ!? お前、クズだけどこれから先、大丈夫!?」って(笑)。「お前は格闘家としてはすごいかもしれないけど、人間としてはクズなんだから、お前は格闘技以外で食っていくことはできねえ」と。
──し、辛辣ですね……。
川尻 「お前、知らなかったの!? これしかできないよ? カスなんだから」って。……あれ? 「クズ」だったかな?(笑)。
──そこはどっちでもいいと思います(笑)。
(※ここで山田トレーナーが通りかかる)
川尻 あっ、山田さん! 「山田さんから『お前はクズだから』って言われた」って言っちゃいました(笑)。
山田 フハハハハ!!
──「格闘技以外できるはずねえだろ」と。
山田 じゃあ、川尻くんにあと何ができると思います?
──う〜ん……あまり思い浮かばないですけど、でも川尻選手は格闘技界の中では比較的常識者として……。
山田 (さえぎって)って川尻くんも言い出したの。だから、「そんなことはねえ!」って言って。たしかに川尻くんはキレたり、非常識なことはしないよ。でも、おかしいヤツらはヤツらで、そういったもん同士でつるんだりして、人の輪を培っている。それが少ないグループだったとしても、先輩後輩の接し方とかさ、人と共存できる力というのが養われているんだよね。でも、川尻くんにはそれがない。フハハハハ!!(笑)。
──そんな、笑いながらもキッパリと(笑)。
山田 人と共存できない人間が社会の歯車のひとつになれるわけないじゃないですか(と言いながら退出)。
──山田トレーナーの言葉には川尻選手は納得する部分はあったんですか?
川尻 ありました。たしかに僕は人と目を合わせるのも苦痛だし、人から偉そうに言われるも嫌だし、命令されるのも嫌だし……。
──あ〜あ〜……。
川尻 だから、たしかにそう言われてみれば、社会の歯車にはなれねえなと思って(笑)。「じゃあ、これしかねえな」と。
──いろいろな方からのお言葉もあり現役続行を決意されたとのことですが、ご自身の中では、これまで持っていた「もう一度、世界一を目指す」という部分は盛り返しているのですか?
川尻 この前あんな負け方をしておいて「世界一」と言うのはおこがましいし、今のところは「次の試合に絶対に勝つ」ということだけです。今は、「世界一を目指す」というよりも、「目の前にあるシケリム戦に絶対に勝つ」という気持ちだけですね。
──シケリム選手の印象についてはどうでしょう?
川尻 若くて、今、世界のMMAの軽量級を騒がせているノヴァウニオンの選手。練習環境的には最高だと思うし、とにかく若いので短期間で成長してガラッと変わっている可能性もあるし、要注意ですよね。遠藤(雄介)戦、富樫(健一郎)戦、アメリカでの試合も観ていますけど、どんどん成長しているのが分かりますから。ただ、負けるわけにはいかないんでね、僕も。まあ、ぶっ飛ばしますよ。ナメてはいないですけど、絶対に負けない。
──元修斗世界王者対決でもあります。
川尻 僕が第8代で、向こうが第10代かな? 僕は昔、五味隆典っていう先輩王者には負けていますけど、後輩王者には負けるわけにはいかないですから。(第6代王者の)ヨアキム(・ハンセン)には金玉蹴られて秒殺で勝っていて(笑)、修斗王者対決は1勝1敗なので、絶対に負け越しはしません。ぶっ倒しますんで、ぜひ会場に観に来てください。
★★★★★川尻達也vsヴィラミー・シケリムが行われる7・16『DREAM JAPAN GP FINAL』、チケット絶賛発売中!!★★★★★
【FIGHT FOR JAPAN『DREAM JAPAN GP FINAL -2011バンタム級日本トーナメント決勝戦-』対戦カード】
■DREAMバンタム級(-61キロ)日本トーナメント決勝戦
所英男(日本/リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)vs今成正和(日本/チーム・ローケン)
■DREAMバンタム級(-61キロ)日本トーナメント3位決定戦
大沢ケンジ(日本/和術慧舟會 HEARTS)vs藤原敬典(秋本道場ジャングルジャンクション/チームZST)
■DREAMライトヘビー級(-93キロ)タイトルマッチ
ゲガール・ムサシ(王者/オランダ/チーム・ムサシ)vs泉浩(挑戦者/日本/プレシオス)
■DREAMフェザー級(-65キロ)タイトルマッチ
高谷裕之(王者/日本/高谷軍団)vs宮田和幸(挑戦者/日本/BRAVE)
■DREAMライト級(-70キロ)ワンマッチ
川尻達也(日本/T-BLOOD)vsヴィラミー・シケリム(ブラジル/ノヴァウニオン)
■DREAMヘビー級(+93キロ)ワンマッチ
トッド・ダフィー(アメリカ/グラッジ・トレーニング・センター)vsニック・ガストン(アメリカ/8 8 Striking System(エイトプラスエイト・ストライキング・システム))
FIGHT FOR JAPAN『DREAM JAPAN GP FINAL -2011バンタム級日本トーナメント決勝戦-』
◎日時/2011年7月16日(土)開場16:00 開始17:00(予定)
◎場所/有明コロシアム
◎主催/(株)FEG、(株)リアルエンターテインメント
◎チケット料金/全席指定・消費税込
・VIP(ビップ)=100,000円【特典:専用入場ゲート・グッズ付】
・RRS(ロイヤルリングサイド)=22,000円
・スタンドS=10,000円
・スタンドA=5,000円
(※1歳より入場券が必要です)
◎チケット発売中!!
◎チケット発売所/
・DREAM webサイト(http://www.dreamofficial.com/)
・DREAM携帯サイト(iモード Yahoo!ケータイ EZweb)
・イープラス(http://eplus.jp/battle/) ※パソコン&携帯
・チケットぴあ(電話0570-02-9999 <Pコード=594-790>)
・ローソンチケット(電話0570-084-003 <Lコード=38170>)
・CNプレイガイド(電話0570-08-9999)
・レッスル池袋店(電話03-3989-0056)(http://www.wrestle.jp/)
・書泉ブックマート(電話03-3294-0011)(http://www.shosen.co.jp/)
・フィットネスショップ格闘技(電話03-3265-4646)(http://www.fs-kakuto.com/)
・チケット&トラベルT-1(電話03-5275-2778)(http://www.t-1.jp/tk/)
・後楽園ホール(電話03-5800-9999)(http://www.tokyo-dome.co.jp/hall/)
・公武堂(電話052-241-2511)(http://www.koubudo.co.jp/)
・バトルロイヤル(電話03-3556-3223)(http://www.battleroyal.jp/)
・Laughter7(電話03-6807-1770)(http://www.laughter7.com/)
・新日本プロモーション(http://www.shinnichi-pro.co.jp/)
◎お問合わせ/DREAM事務局03—5775—5065
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