- 2011年9月18日
「あれができたらテイクダウンする必要がないんだけどなあ」
桜庭和志インタビュー- 9・24FIGHT FOR JAPAN『DREAM.17』(さいたまスーパーアリーナ)にて行われるDREAMウェルター級ワンマッチ、ヤン・カブラル戦に臨む桜庭和志にインタビュー。アクシデントに見舞われた昨年大晦日のザロムスキー戦、ウェルター級、5分3R──。9ヵ月ぶりの復帰戦に向けての意気込みを語った。【取材日:2011年9月7日】
■「これで晴れて、“ア・ハッピー・ニュー・イヤー”」
──昨年大晦日でのマリウス・ザロムスキー戦以来、9ヶ月ぶりの試合が決まりました。まず、ザロムスキー戦での試合中に耳が裂けてしまったアクシデントについて、あらためて振り返っていただけますか?
桜庭 はい。まず、試合中に耳から血が出てたので一回目のドクターチェックが入りましたよね。あの時、僕は「ここは練習中もいつも血が出ちゃうとこなんで大丈夫ですよ」って答えたんですよね。そうしたらドクターが「いや、けっこう深いですよ」って言うから、「いやいや、ホントに毎度のことですから大丈夫ですよ」って。痛みも全然なかったですし。それで試合再開になって、またタックルに入ったら(右耳を触りながら)ここの盛り上がってる部分がはがれちゃったんですよ。
──耳の根元が削げたんじゃなくて、いわゆるカリフラワーイヤーという軟骨が変形してる部分ですね。だいぶ出っ張ってましたもんね。
桜庭 ええ。そこの部分がはがれちゃって、タックルを切られて離れた瞬間に何かがピタピタピタピタ当たってる感触があったんですよ。「あれ? ひょっとして耳が取れちゃったかな?」と思ってたら、レフェリーがあわててストップをかけたので、「うわ、マジで耳が取れたぁ!」って(笑)。それで、すぐに「ヤバい! これは映像に映しちゃダメだ!」と思って、あわてて手で耳を隠したという状況でしたね。
──しかし、そのシーンをリングサイドで目の当たりにしたお客さんが数名、気分が悪くなって医務室に運ばれたという……。
桜庭 みたいですね(笑)。もちろん、僕も医務室に行きましたけど、そこから病院に直行して、とりあえずはがれた部分をくっつけてもらわないといけない。その時に「ついでに軟骨も削ってもらっていいですか?」って先生にお願いしたんですよ。
──まとめて片づけてしまおうと。
桜庭 ええ。だけど、まずはやっぱりくっつけることが第一で、「こめかみのほうから血管を持ってきて血を通わせないといけませんよ」って。
──えっ、こめかみから血管を!?
桜庭 ちょっと、ここ触ってみてくださいよ。
──うわあ。こめかみから耳あたりまで、ぶっとい血管が浮き上がってますね。
桜庭 こうやって血を通わせないと、ただ単にくっつけただけだと耳が壊死しちゃうらしいんですよ。だけど、もう練習でも何回もタックルに入るたびにいちいち当たる箇所だったんで、「先生、もういいですよ。片方があればいいから右耳は取っちゃってくださいよ」って言ったんですよ。
──そういう問題じゃないですけどね(笑)。
桜庭 もう耳なんかないほうがタックルも入りやすいだろ、って(笑)。そうしたら先生が困った顔で「うーん……耳はあったほうがいいですよ」って。
──絶対にあったほうがいいですよ。
桜庭 「じゃあつけたままにしときます」って。で、そこでひとつラッキーだったことがあったんですけど、どの箇所でも手術前ってかならず絶食をしないといけないじゃないですか? 当然、あの日は試合だったからそんなにメシを入れてないわけですよ。だからすぐに手術をしてもらえたんですよね。
──期せずして、絶食状態だったんですね。
桜庭 そうです。それで、夜中に5〜6時間かけて手術をしてもらって、そのまま正月3〜4日ぐらい入院ですね。それで退院後、しばらくしてまた練習を始めたんですけど、さすがに最初の頃はヘッドギアを着けてやってましたね。でも、「こんなに気になるぐらいだったらもう削っちゃえ!」と思って、4月に軟骨を削ってもらう手術をして、きれいにしてもらいました。せっかくだから両耳ともやってもらって。これで晴れて、“ア・ハッピー・ニュー・イヤー(耳)”ですよ。
──あ、あけましておめでとうございます(笑)。
桜庭 今年もヨロシク(笑)。
■「僕の耳が取れるか、それとも無事か?」
──アハハハハ。ところで初めてウェルターに階級を落として、短い試合タイムでしたがかなりいい動きをされていましたね。
桜庭 そうですかね? やっぱり自分の身体が軽くなったぶん、動きが速くなったというのはあるかもしれませんね。だけど正直、もう9ヶ月も前のことなんで憶えてないですね。
──そういうもんですか?
桜庭 どうなんだろう? ホントに憶えてないんですけど(笑)、僕のパンチも何発か当たってたじゃないですか? それで、あとで病院に行く途中にシモさん(当日セコンドに就いた下柳剛投手)から「おまえ、パンチ当たった時にドヤ顔したろ?」って言われたことだけは憶えてるんですよね(笑)。
──本当にドヤ顔したんですか?
桜庭 してないですよぉ。表面上はしてないですけど、たしかに心の中ではドヤ顔をしましたね(笑)。
──ドヤ心というか(笑)。
桜庭 そうそう、ドヤ心。「おまえ、俺が打撃できないと思ったろ? どや!」って思ったのは事実です(笑)。だから耳が取れたのかなあ、なんて。完全に罰が当たりました!
──パンチと罰が当たった(笑)。耳のほうはもうバッチリですか?
桜庭 気持ち的にはちょっと怖いですけどね。練習では問題なくやれてますけど、「今度同じことが起きたら、こめかみから血管を持ってきてるので血が噴きますよ」って言われてます。
──スプラッター状態に!
桜庭 ええ、『犬神家の一族』のシズマばりに(笑)。ああなっちゃったら、さすがにへこみますよ。
──さて、今回の相手はヤン・カブラルという柔術黒帯、MMA9戦無敗という選手です。
桜庭 はい。
──そもそも、まずはザロムスキーと再戦したいという気持ちはなかったですか?
桜庭 そこまで希望はなかったですけど、そうくるんじゃないかなとは思ってました。
──ああ、再戦のオファーがくるんじゃないか、と。
桜庭 ええ。そこでしっかり決着をつけてから、「また次は誰とやる?」っていう流れかと思ったんですけど。
──じゃあ、「なんでザロムスキーじゃないの?」っていう。
桜庭 それは少しありましたよ。だけど、相手は誰でもいいと言ったらアレですけど、試合ができるということが嬉しいですからね。
──カブラル選手の試合映像を観た印象を教えてください。
桜庭 グラウンドになった時のバランスがいいですよね。上になったら下の相手が何もさせてもらえない。だから、なるべく下にならないほうがいいのかなっていう印象ですね。極めが強いんですよね?
──これまでオール一本勝ちですね。じゃあ、逆に桜庭さんが一本取ってください。
桜庭 取りたいですねえ。耳は取りたくないけど、関節は取りたい!
──弁慶戦の時のようなスカッとした一本勝ちが観たいですね。
桜庭 ああ。でもウェルターはスピードがあるから、足を取るのは難しいかなあ?
──40過ぎのベテランが若いファイターから一本勝ちをおさめると無条件に興奮しますからね。
桜庭 どうぞ、おっさん扱いしてください(笑)。まだまだやる気は萎えてないですからね。いまだに若い選手にガーッとこられるとイラつきますもんね。「なんだ、このクソガキャー!?」って(笑)。
──格闘技の醍醐味でもありますよね。まるで違う世代同士が1対1で殴り合えるっていう。
桜庭 ええ。だけど、「おまえ、俺が高校ぐらいんときに生まれたんだろうが! いくつ上だと思ってんだ!」「おい! 俺に手を挙げたな、オラ! 絶対に関節極めてやっからな!」って(笑)。
──長幼の序をわきまえろ、と(笑)。
桜庭 まあ、そういうのは少しありますよ(笑)。
──それと今回からDREAMも5分3Rになりました。
桜庭 ああ。ハレック(・グレイシー)戦の時と一緒ですよね? いつも練習も5分で回してるんで問題ないと思います。ただ、やっぱり10分とは試合の作りかたが違ってきますよね。
──グラップラーにとっては、やはり10分のほうがいいですよね?
桜庭 たぶん。打撃戦ならスタンドでパッて一発いいのが当たったら終わりじゃないですか。まあ、それは一番簡単な展開ですけど、タックルに入ってきた相手にヒザを合わせたりすれば即KOですから。だけど、極めのほうはやっぱりまずは寝かさないといけないじゃないですか? テイクダウンをさせないといけない。このテイクダウンが一番疲れるんですよね。
──テイクダウンに至るまでの過程が。
桜庭 そう。打撃だけ、グラウンドだけっていうより、テイクダウンが一番疲れるんですよね。テイクダウンをしても、そこからバランスを取りつついろんな仕掛けをしながら関節を取りにいくわけですけど、そのあいだに相手に立たれたらまたテイクダウンからやらなきゃいけない。
──肉体的な消耗が激しそうですね。
桜庭 そう。背中やお尻といった大きい筋肉を一番使うんですよね。体力も使うし、神経も使いますよ。だからすっごい疲れる。ほら、佐藤ルミナ君みたいに飛びつき腕十字とか出来ればいいんだけどなあ(笑)。あれができたらテイクダウンをする必要がないもん。
──桜庭さん、飛びつきは出来ないですか?
桜庭 出来ない! あんなの、危ない危ない!(笑)。
──練習でトライしてみたこともないですか?
桜庭 ないないないない! 頭から落ちたら怖いもん! 出来ないですよぉ。あれを失敗したら耳が取れるどころじゃないですよ、首が取れちゃいますよ。
──ウェルター級で飛びつき腕十字をやる“ニュー桜庭”が観たいですねえ(笑)。
桜庭 絶対に無理!!(キッパリ)。自分がやってるとこ、全然想像つかないですから(笑)。あれが出来る佐藤ルミナは凄い! で、何でしたっけ?
──5分3Rの話でしたね。
桜庭 だから、テイクダウンをするのに4分かかったら、あと1分しかないじゃないですか? よっぽどタイミング良く入らないと、テイクダウンって時間がかかりますからね。そのへんは難しいですよね。倒してすぐ極めにいこうとしても、余計な動きが出てきて立たれたりする可能性も高いですし。
──イメージとしてはテイクダウンに3〜4分はかかるから、そこから極めにいくまでの時間が少ししかない。10分だと3〜4分で倒せば5分以上、極めのプロセスに時間をかけられると。
桜庭 そうそう。5分だとその試合の作りかたが難しい。
──わかりました。カブラル戦ではウェルター級の桜庭和志の闘いぶりをじっくりと観たいです。
桜庭 はい。まず勝つことを目標にがんばります。あえて見所を言うなら僕の耳が取れるか、それとも無事か?
──そこですか!?
桜庭 ええ。早く試合で白黒つけたいですね。
【FIGHT FOR JAPAN『DREAM.17』全対戦カード】
■第10試合/DREAMライト級(−70キロ)ワンマッチ(5分3R)
青木真也(日本/パラエストラ東京/Evolve MMA)vsロブ・マックロー(アメリカ/ハンティントン・ビーチ アルティメットトレーニングセンター)
■第9試合/DREAMフェザー級(−65キロ)ワンマッチ(5分3R)
川尻達也(日本/T-BLOOD)vsヨアキム・ハンセン(ノルウェー/ヘルボーイ・ハンセンMMA)
■第8試合/DREAMフェザー級(−65キロ)ワンマッチ(5分3R)
宇野薫(日本/UCS)vsリオン武(日本/シューティングジム横浜)
■第7試合/DREAMウェルター級(−76キロ)ワンマッチ(5分3R)
桜庭和志(日本/Laughter7)vsヤン・カブラル(ブラジル/チーム・ニューユニオン/MMAバルセロナ)
──休憩──
■第6試合/DREAMライト級(−70キロ)ワンマッチ(5分3R)
北岡悟(日本/LOTUS)vsヴィラミー・シケリム(ブラジル/ノヴァウニオン)
■第5試合/DREAMミドル級(−84キロ)ワンマッチ(5分3R)
中村和裕(日本/吉田道場)vsジェラルド・ハリス(アメリカ/ゴースト・ドッグ)
■第4試合/DREAMバンタム級(−61キロ)世界トーナメント1回戦(5分3R)
所英男(日本/リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)vsアントニオ・バヌエロス(アメリカ/ピット・ファイト・チーム)
■第3試合/DREAMバンタム級(−61キロ)世界トーナメント1回戦(5分3R)
大塚隆史(日本/AACC)vsビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル/ファイト・チーム・ビビアーノ)
■第2試合/DREAMバンタム級(−61キロ)世界トーナメント1回戦(5分3R)
今成正和(日本/チーム・ローケン)vsエイブル・カラム(アメリカ/Cullum Ground Fighting)
■第1試合/DREAMバンタム級(−61キロ)世界トーナメント1回戦(5分3R)
ユサップ・サーデュラエフ(ロシア・ダゲスタン共和国/Uflacker Academy)vsホドルフォ・マルケス・ディニス(ブラジル/ノヴァ・ウニオン)
★★★9・24『DREAM.17』チケット発売中!!★★★
FIGHT FOR JAPAN『DREAM.17』
◎日時/2011年9月24日(土)開場15:00 開始16:00(予定)
◎場所/さいたまスーパーアリーナ
◎主催/(株)FEG、(株)リアルエンターテインメント
◎協力/さいたまスーパーアリーナ
◎チケット料金/全席指定・消費税込
・VIP(ビップ)=100,000円【特典:専用入場ゲート・グッズ付】
・RRS(ロイヤルリングサイド)=22,000円
・スタンドS=10,000円
・スタンドA=5,000円
(※1歳より入場券が必要です)
◎チケット発売所/
・DREAM webサイト(http://www.dreamofficial.com/)
・DREAM携帯サイト(iモード Yahoo!ケータイ EZweb)
・イープラス(http://eplus.jp/battle/) ※パソコン&携帯
・チケットぴあ(電話0570-02-9999 <Pコード=594-790>)
・ローソンチケット(電話0570-084-003 <Lコード=33418>)
・CNプレイガイド(電話0570-08-9999)
・レッスル池袋店(電話03-3989-0056)(http://www.wrestle.jp/)
・書泉ブックマート(電話03-3294-0011)(http://www.shosen.co.jp/)
・フィットネスショップ格闘技(電話03-3265-4646)(http://www.fs-kakuto.com/)
・チケット&トラベルT-1(電話03-5275-2778)(http://www.t-1.jp/tk/)
・後楽園ホール(電話03-5800-9999)(http://www.tokyo-dome.co.jp/hall/)
・さいたまスーパーアリーナ(電話048-600-3027)(http://www.saitama-arena.co.jp/)
・公武堂(電話052-241-2511)(http://www.koubudo.co.jp/)
・バトルロイヤル(電話03-3556-3223)(http://www.battleroyal.jp/)
・Laughter7(電話03-6807-1770)(http://www.laughter7.com/)
・新日本プロモーション(http://www.shinnichi-pro.co.jp/)
◎お問合わせ/DREAM事務局03—5775—5065
★★★スカパー!、J:COM等で9・24『DREAM.17』をPPV完全生中継!!★★★
【『DREAM.17』スカパー!放送概要】
■スカパー!の「スカチャン162」で完全生中継!
①9月24日(土)16:00〜@Ch.162(初回放送)
②9月24日(土)24:00〜@Ch.173(再放送)
③9月26日(月)20:00〜@Ch.179(再放送)
④9月27日(火)20:00〜@Ch.181(再放送)
⑤9月28日(水)13:00〜@Ch.172(再放送)
⑥9月29日(木)10:00〜@Ch.181(再放送)
⑦9月30日(金)15:00〜@Ch.162(最終回)
視聴料金:3,150円/番組(税込) ※各放送の視聴に対して毎回3,150円が掛かります。
■「スカチャン195HD」(ハイビジョン)でも完全生中継!
①9月24日(土)16:00〜@Ch.195(初回放送)
②9月27日(火)20:00〜@Ch.191(再放送)
③9月29日(木)10:00〜@Ch.181(最終回)
視聴料金:3,150円/番組(税込) ※各放送の視聴に対して毎回3,150円が掛かります。
■スカパー!e2 もハイビジョン、「スカチャン804」で完全生中継!
①9月24日(土)16:00~@Ch.804(初回放送)
②9月27日(火)20:00~@Ch.801(再放送)
③9月29日(木)10:00~@Ch.801(最終回)
視聴料金:3,150円(税込) ※視聴チケットのお申し込みで3回ともご覧いただけます。
☆8/15(月)〜9/23(金)、視聴チケットの事前購入申し込みを受け付け中!
スカパー!ユーザーの方で、チューナーに電話線を接続されていない場合でも、電話やWEBから事前にPPV・PPSがお申込みいただけます。なお、チューナーに電話線を接続されている方は、放送当日でも番組購入を申し込めます。
■ケーブルテレビの「J:COM」や「エラボ」、スカパー!光でも完全生中継!
※詳しくは、スカチャンホームページをご覧ください。
www.sukachan.com/battle/
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