- 2010年4月7日
「DREAMにとっての勝負というか、日本にとっての勝負」
DREAMライト級チャンピオン青木真也インタビュー- 来る4月17日(日本時間18日)にアメリカのテネシー州ナッシュビルで開催される『STRIKEFORCE - NASHVILLE』で、ストライクフォースライト級王座を懸け同王者ギルバート・メレンデスと対戦する青木真也。大一番に向けての意気込みを語ってもらった。
■「実際、背負っているのは僕しかいませんからね」
──今年一戦目、4・17ストライクフォースでのギルバート・メレンデス戦が決定しました。
青木 素直にビッグマッチなんで単純に楽しみです。「楽しみ」って言うと簡単すぎますから、まあ、新たな挑戦ですよね、本当に。2年間、DREAMでやらせてもらって一通りやったというのもあるので、新たな挑戦です。試合をすること自体は別に変わったことはないんですけど、ただ、本当に今回はビッグマッチというか、今回は勝負だなっていうのは強く感じてます。
──その勝負というのは、青木選手自身にとっての勝負ということですか?
青木 それももちろんそうですし、DREAMにとっての勝負というか、日本にとっての勝負だなっていうのを感じてますね。
──しかも、いきなりストライクフォースライト級王座が懸かった試合です。
青木 まあ、「タイトルマッチだよ」って言われても、普通に「はい」って言ってやるだけなんですよね、本当に(笑)。別に、向こうのタイトルが懸けられてるとか、そういう意識はないですし、なんかすごくプロのファイターとして割り切ってるって言ったら聞こえが悪いかもしれないんですけど、さっぱりしてるというか、振られた仕事は全部やるっていう感じなんですよね。だから、チャンレンジャーという意識もないし、それを言ったら毎回チャレンジャーだし。タイトルマッチであろうがなかろうが、変わらないんですよね。
──では、青木選手にとって今回アメリカのストライクフォースで試合をするというのは?
青木 単純に、本当に自分が強くなるために必要なことなんだろうなって思うんですよ。それは、環境が変わったらどうなのかとか、向こうの世界を知るという意味で。これが35歳とかだったら国内だけでやっていくというのもあるんでしょうけど、今このタイミングで海外に出て行くということは、自分の中ですごく大切なことだなって思ってます。いつでも、どこでも、誰にでも、自分の100%を出せないと本物じゃないと思うので、そこは常に意識していきたいんですよね。
──笹原圭一DREAMイベント・プロデューサーはDREAMオフィシャルモバイルサイトのコラムで「ドキドキします」ということをおっしゃっていました。
青木 あっ、そうなんですか?
──ええ。DREAMとしてチャンピオンを全米に生中継される大会に送り込むわけですからね。
青木 まあ、確かにそうですよね。でも、僕自身、あんまりチャンピオンっていう意識もないんだよなぁ……。
──DREAMを代表して行くとか、日本を代表して行くとか、そういう気持ちではないと?
青木 代表して出て行く、う〜ん……。もちろん「日本代表」とかそういう枠組みで見られるのはありがたいことですし、面白いとは思いますけど、でも、自分としてはあまりそこにはこだわってないんですよね。さっき、「DREAMにとっての勝負」「日本にとっての勝負」ってことを言いましたけど、もちろんそれは感じていますけど、でも、僕の中ではいつもと変わらぬ試合の一つって意識なんですよね。それに、逆に言ったら、僕しかいないじゃないですか(笑)。
──「僕しかいない」って言うのは、今このタイミングで日本を背負って世界のトップと闘えるのは自分しかいないということですね。
青木 ええ。実際、背負っているのは僕しかいませんからね。そういった覚悟は持っていますよ。
■「削り合いですよ、究極の」
──対戦相手は日本でもおなじみのギルバート・メレンデス選手なんですが、改めてその印象を聞かせていただけますか。
青木 世界でもトップの一人ですよね。スーパーアグレッシブファイター。アクションがノンストップ、ずっと。面白いと思いますよ。
──ガンガン前に出てきてプレッシャーをかけ続けるというイメージがあります。
青木 そうですね。仮にもしピンチになっても、ちぎって暴れて展開してしまう。レスリングもできる。あとは、あの打たれ強さですよね。まあ、トータル的になんでもこなせて、とにかくアグレッシブですね。
──メレンデス選手は昨年8月には石田光洋選手と、12月にはジョシュ・トムソン選手と対戦してともに勝利していますが、その2試合をご覧になってどう思われましたか?
青木 トムソンとの試合は、単純に打ち合い続けましたよね。あの試合もすごいんですけど、石田戦もちゃんとアウトして勝ってるんですよね。石田戦のときのメレンデスは完全に待ちだったんですけど、でも勝ちに徹して、結果それで勝ってる。とにかく、ここ1年半くらいのあの安定感というのはすごいですよ。その前までは、石田さんに負けて、トムソンに負けて、ちょっと落ちたかなって思ったんですけどね。
──攻略の糸口というのは?
青木 もちろん! それは大丈夫です。
──3月3日に行われた記者会見では「パッと極めて、パッと勝って証明する」とおっしゃっていましたが。
青木 まあ、そういうふうに派手なことを言いましたけど、本当に根性勝負と言うか、削り合い、出し尽くすような試合になると思いますよ。甘くは考えていません。削り合いですよ、究極の。
──具体的にどういった試合展開になると。
青木 向こうがアグレッシブに打撃で攻めてきたのを、僕もアグレッシブに組みに行って、ということになるでしょうね。本当にさっき言った通り、削り合いですよね。しのぎ合い。そんな中で一瞬のスキを狙いあうというか。そういう試合になると思います。
──5R通して気が抜けない試合になると。
青木 まったく気が抜けないでしょうね。僕としては常に主導権を握り続けるような試合をしたいと思います。本当に毎回「これが最後」っていう気でいるんで、そういう意味でも出し尽くしたいですね。
■「僕自身、目指してることを一生懸命やってくるだけ」
──昨年10月にはストライクフォースのシカゴ大会に行かれて、公開計量では挨拶も行いました。実際に現地で大会を見て、自分が闘うことになったときを想定してシミュレーションとかはされたんですか?
青木 もちろんそういったシミュレーションはしました。でも、ケージの中は見てないので分からない部分があるんですけど、あんまりそこは強く意識しないようにしています。どうとでもなれって感じですね。
──今回は青木選手初のケージマッチという部分でも注目されています。3月3日に行われた記者会見では「僕の技術体系だとケージとかリングは関係ないです」ということをおっしゃっていました。
青木 でも、それが言えるのは僕だからですよ、正直。常に僕は世界を見てきたつもりだし、今まではリングの中だけでしたけど、ケージで闘うことも想定して練習してきてますからね。それに、僕ほどケージの試合を見ているヤツもいないと思いますからね(笑)。
──DREAM初のケージが行われた昨年10月の『DREAM.12』の直前に当サイトで青木選手にケージファイトの見どころを語ってもらったことがありましたが、実際、青木選手に解説をしてもらってから試合を見ると、やっぱりその通りになるんですよね(笑)。
青木 なりましたよね(笑)。
──今度は実際に青木選手がケージの中で闘うわけですから、これは非常に楽しみです。
青木 そういう部分で僕も楽しみですよ。
──その他にもストライクフォースとDREAMとでは違いがありますよね。ワセリンを塗ったりだとか、コスチュームもそうですし、あとはグローブも。
青木 そこはそんなに考えてないかなぁ。スパッツがどうこう言われてますけど、別に関係ないですし、そこは。現に、僕は練習してるときは普通にパンツですからね。あんまり考えてないっすね。ワセリンもしょうがない部分はあるし。そこで要求された状況で自分のパフォーマンスを全力で出すしかないですよね。
──ワセリンの話が出たところでちょっとお聞きしたいのですが、昨年のメレンデスvs石田でよく言われたのが……。
青木 (メレンデスが)滑るってことですよね?
──はい。
青木 いいんですよ、滑ったって。「塗りたけりゃ塗れ」っていう(笑)。僕にとっちゃ関係ないんですよね。そこも相手がどうこうじゃなくて自分の問題ですから。そういう相手に対しても、そこにある自分を全力でぶつけるだけですからね。それで出た結果が勝ちなのか負けなのかっていうのは、そのときに受け入れるしかないですし。
──グローブの違いについてはいかがですか?
青木 ストライクフォースのは、形はすごくいいんですけど、アンコが薄いというか硬い。形状が手袋型なので、僕は手袋型が好きなんですけどね。まあ、そんなに気にはならないんですけどね。今はストライクフォースのグローブを着けて練習してるんですけど、まったく違和感はないですから。大丈夫です。
──日にちが近付くにつれて、どんどんこの一戦に注目が集まっています。
青木 まあ、勝手に盛り上がってくれと(笑)。僕はもうやりたいことをやるだけですから。向こうに行ったからって、なんかこう、あれしてやろう、これしてやろうっていうのはないですし、まったくいつもと変わんないです。普通にパッと行って、パッとやりたいです。
──では、最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
青木 まあ、ベタなことですけど、僕自身、目指してることを一生懸命やってくるだけなんで、それを見てほしいなって思いますね。それだけです。「応援してください」とは言わないんですよ、僕(笑)。僕は、僕のやりたいことをやるだけですから、はい。
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