- 2010年5月8日
「リングでもケージでも、ルールがどうでも、結局は強いヤツが勝つ」
宮田和幸インタビュー- 5・29『DREAM.14』(さいたまスーパーアリーナ)にて行われるDREAMフェザー級ワンマッチ、大塚隆史戦に臨む宮田和幸にインタビュー。フェザー級転向後、3連勝。フィジカルに絶対の自信を持つ宮田に、大塚戦への意気込みを語ってもらった。【取材日:2010年5月1日】
■「フィジカルで負けたら先が見えなくなっちゃいます」
──5・29『DREAM.14』(さいたまスーパーアリーナ)での大塚隆史戦が決定しました。昨年、フェザー級に転向してから3連勝と好調ですが、宮田選手自身はどのように感じていますか?
宮田 予定どおりという感じですね。自信があるから63まで落とそうと思ったんで、はい。レスリングのときも63まで落としてたんで、減量自体もそんなに心配していませんでしたし。
──今回対戦する大塚選手の印象は?
宮田 勢いのある選手ですよね。この階級ではトップの一人だと思います。彼がどこまで認知されているのか分からないですけど、多分、みんなが思っている以上に強いと思いますよ。実力的には間違いなくトップの力を持っている選手でしょうね。
──4月23日に行ったカード発表記者会見で笹原圭一DREAMイベント・プロデューサーは、宮田選手と大塚選手について「同じようなタイプ」と言っていましたが、宮田選手はどう思われますか?
宮田 前回の試合(DJ.taiki戦)を見てそう言ったと思うんですけど、勝ちに行くとああなっちゃうんじゃないですかね、僕も大塚選手も。前回は試合直前に太股を肉離れしてああいう試合になっちゃいましたけど、元々僕は関節取りに行くタイプですから、違うと思うんですけどねぇ。ただ、タックルが強いとか、あと今、「アメリカ」とか「金網」とかって話で盛り上がっている中で言うと、そういうところで通用しそうなタイプという意味では一緒だと思いますけどね。今って、レスリング弱いと話にならないと思うんですよ。だからまあ、この階級で世界とやっていける日本人って言ったら、やっぱり自分とか大塚選手とかになると思いますからね。
──大塚選手は昨年3月『DREAM.7』のビビアーノ・フェルナンデス戦では惜しくも判定負けを喫してしまいましたが、同年8月『DEEP43』の三島☆ド根性ノ助戦、今年2月『DEEP46』の山崎剛戦に勝利しています。ここ一年の大塚選手の試合というのはチェックされているんですか?
宮田 山崎君との試合は見ていなかったんですけど、三島さんとの試合は会場で見ました。ビビアーノのときはまだ彼のことを知らなかったので、そんなに深くは見ていなかったですね。
──試合が決まって改めてご覧になったりは?
宮田 見たいんですけど、YouTubeとかでどうやって見るのか分からないんですよね(笑)。アナログ人間だからパソコンとかの使い方、分からないんです。だから、会場に見に行くしかないんですよ(笑)。
──そうでしたか(笑)。
宮田 だから、漠然としか覚えていないんですよね(笑)。単純に「強かった」とか。今どきダビングしてもらったりしているんで、パソコンに強い人を近くに欲しいです(笑)。
──では、現場で見た三島戦の感想を教えてください。
宮田 三島さんとの試合のときは、いつか三島さんとやることになるかなと思っていたんで、完全に三島さんを見に行ってたんですけど、大塚選手が普通になんでもなく勝っていたんで、結構ビックリしましたよね。僕、63に落として、もちろん絶対に勝てると思って階級を落としたんですけど、その試合の頃までは「自分と勝負になるのは三島さんくらいかな?」って思っていたんですよ。当時、三島さんはDEEPのチャンピオンだったし、自分がトップを狙っていく上で障害になるだろうなと思っていた選手だったんで、その選手にスムーズに勝っていたんでビックリしましたよね。そこから「強い選手だな」と。
──会見で大塚選手は「フィジカル勝負したい」と言っていましたが、大塚選手のフィジカルについてはどう評価されていますか?
宮田 僕、彼の経歴とか知らなかったんですけど、日体大でレスリングをやっていたんですよね? 日体大ってレスリングがすごい強いところなので、そこでやってたんなら、結構フィジカルはあるんじゃないかなとは思いますけどね。
──もちろん宮田選手はフィジカルでは負けないと。
宮田 もちろん。そこで負けたら先が見えなくなっちゃいますからね。これからもこの階級で闘っていく上で、そこが頼りですから。大塚選手に限らず、フィジカルで圧倒できるからこそこの階級に来たわけで、それができなかったら終わっちゃいますからね。70のときはちょっと重さが足りなかったので途中疲れるようなこともありましたけど、今はそんなことないですから。相手とフィジカルが違うからスタミナも保つんです。
──大塚選手と対戦する上で警戒すべき点を挙げるとするとどこでしょう?
宮田 う〜ん、あんまり相手のことは気にしないでやろうと思っているんですよ。一応、僕は全部できる自信があるので、いかに自分の試合をするかが大事ですからね。
──これまで大塚選手と面識というのはあるんですか?
宮田 この前、人づてで一緒になったことがあります。
──大塚選手のキャラについてはどうですか?
宮田 さすがにそのときは呼び捨てじゃなかったですけど、どうせ僕のことも呼び捨てなんじゃないですか?(笑)。まあ、あのキャラは作っているわけじゃなさそうですよね。
──宮田選手は、中学時代は柔道部に所属して、高校、大学、社会人とレスリングを続けてきて、おそらく礼儀とかに関しても厳しい環境だったと思うんですよ。
宮田 そうですね。
──そういう環境で育った宮田選手から見て、大塚選手のあのキャラというのはどう感じますか?
宮田 彼っていくつでしたっけ?
──23歳ですね。
宮田 23って言ったら、シドニー(五輪)に出た頃なんですけど…………まあ、僕もそういうの全然できなくてしょっちゅうブン殴られていましたらね(笑)。
──ハッハハハハ!
宮田 あんま人のことは言えないです(笑)。
■「お客さんに楽しんでもらえるような環境にしていけばいい」
──今大会が急遽、ケージで行われることについてはどのように感じていますか?
宮田 正直、どっちでもいいんですよ、ほんとに。よくレスラー系はケージのほうが向いているとか言われますけど、別にそっちのほうがいいという感じはないですし。てか、そんなに変わるんですかね? 寝技で下になる選手とかは金網に押しつけられるとマズイってのは、この前の青木君の試合見て思いましたけど、僕は下からガンガン行くタイプではないので、あまり気にならないですし。ただ、カッコイイなとは思いますけどね。
──あっ、ビジュアル的に(笑)。
宮田 そう(笑)。闘う場って感じでカッコイイなというのはあります。
──では、特別ケージ対策を行うようなことは?
宮田 ないですね。
──デビュー戦のホイラー・グレイシー戦(04年11月『Rumble on the Rock 6』)はケージでしたよね?
宮田 ああ、そういえばケージでしたね。でも、あのときは総合の練習を始めて2〜3ヵ月くらいのときでしたからね。柔道をやりつつ総合の練習をしたりとか、柔道やりつつ柔術も練習したりとか、そんなじゃまったくなく、それまでは完全にレスリング一本だけだったので、ほんともう素人みたいなもんでしたから。だからあのときに感じたことってのは、全然参考にはならないですよね。
──今回ケージで行うことについて笹原EPは、DREAMが世界と向き合っていくためには「ケージなのかリングなのか、ルールを変えることがいいことなのかどうか、『DREAM.14』をケージでやることによって、皆さんからご意見をいただいて、DREAMの進む道を見つけていきたい」ということをおっしゃっているのですが、宮田選手の意見を聞かせていただけますか。
宮田 う〜ん、本当にどっちでもいいんですよね。お客さんが「世界基準と呼ばれているものに合わせたらいい」って言うんだったらケージでやったらいいし、金網がイヤな人もいるかもしれないならリングでもやって、ケージとリング半々でやってもいいと思いますし。僕個人でどっちがいいというのはないですね。ルールも同じで、ヒジとかもどっちでもいいし、踏みつけとかもDEEPでやりましたけど対応できていたし、与えられたルールにアジャストする自信はあるので、本当になんでもいいんです、僕は。結局はお客さんだと思うんですよ。お客さんに楽しんでもらえるような環境にしていけばいいと思いますけどね。ファンあってのプロですから。リングでもケージでも、ルールがどうでも、それにアジャストするのもプロの仕事ですから。結局は強いヤツが勝つと思いますからね。
──一部専門誌には「“日本最弱”なのか!?」というキャッチコピーも躍りましたが、そう呼ばれかけている今の日本のMMAの現状についてはどう感じていますか?
宮田 まだ僕はそのことについて言える位置にいないと思っているんですよ。そのことについて言うなら、もうちょっと勝って、この階級のトップの一人と認められてからですよね。ただ、自信はありますよ。僕自身は世界に劣っているとは思っていないですから。
──今回の大塚戦ではどんな試合を見せたいですか?
宮田 日本人対決だし、サバイバルな感じなんですけど、勝ちに徹するというよりも、もっと大きな目で見て格闘技を盛り上げたいんですよね。まずは怪我しないようにして、前回は試合直前に怪我して全部を出せなかったので、今回は怪我もないし全部出していきたいですね。
──今後の目標というのは?
宮田 これからも強い相手としかやることはないと思うので、一戦一戦しっかり勝っていきたいですね。ベルトは獲ったことないので欲しいですけど、まだ先の話だと思うので、一つ一つですね。
──最後に改めて、今回の一戦に向けての意気込みを聞かせてください。
宮田 今回の大塚選手との試合に限らず、63では抜けていると思っているので、あとはやるだけですね。
【『DREAM.14』既報対戦カード】
■DREAMウェルター級ワンマッチ
桜井“マッハ”速人(日本/マッハ道場)vsニック・ディアス(アメリカ/シーザー・グレイシー柔術)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
高谷裕之(日本/高谷軍団)vsヨアキム・ハンセン(ノルウェー/フロントライン・アカデミー)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
所英男(日本/チームZST)vs西浦“ウィッキー”聡生(日本/STGY)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
宮田和幸(日本/Brave)vs大塚隆史(日本/AACC)
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