- 2009年7月28日
「朝、2つのベルトを肩に掛け、ベルトにキスをしました」
DREAMウェルター級王者マリウス・ザロムスキーインタビュー- 7・20『HEIWA DREAM.10 ウェルター級グランプリ2009決勝戦』(さいたまスーパーアリーナ)で行われたウェルター級GP決勝ラウンドで、準決勝戦で桜井“マッハ”速人を、決勝戦でジェイソン・ハイを破り、初代DREAMウェルター級王者となったマリウス・ザロムスキーにインタビュー。今後の抱負を語ってもらった。【取材日:2009年7月21日】
■「やるべきことをやる。そうすれば結果はついてくる」
──DREAMウェルター級GP優勝おめでとうございます!
ザロムスキー センキュー!
──試合後は「夢の中をふわふわ歩いているような感じ」とおしゃっていましたが、今はどうですか?
ザロムスキー 今でも夢のようです。朝起きて、2つのベルトを肩に掛けて、ベルトにキスをしました(笑)。本当にうれしくて、部屋の中でベルトをジーッと見ていましたよ。これからこのベルトを守るために何度も試合をすると思いますけど、とにかく今日は「私がチャンピオンなんだ」と感じています。
──準決勝の桜井“マッハ”速人戦では、とても落ち着いていた印象を受けました。ゴングが鳴ったときはどんな気持ちだったんですか?
ザロムスキー 単純ですよ。とにかくゴングが鳴ったら行くだけですから。だから、何も考えていません。自分の経験から言って、「ああしよう、こうしよう」と頭の中で考えだすと問題が起きるんです。だから、何も考えないようにしていました。
──実際に闘ってみたマッハ選手の印象はいかがですか?
ザロムスキー 試合前から非常に手強い選手だと思っていて、実際そのとおりでした。マッハ選手は肉体的にも強いですし、大きな個性を持っているファイターです。あそこでノックアウトしていなかったら、試合は長引いて大変なことになっていたでしょうね。パンチももらっていましたし、うまくディフェンスしていなかったら、危なかったでしょう。油断して、不意をつかれた状態でもらっていたら、かなり強力に効いていたと思うんですけど、鋭いパンチが来ることはわかっていたので十分対応できました。ただ、ボーッとしているときには喰らいたくないパンチですね。
──マッハ選手がカットしたときはどんなことを思いましたか?
ザロムスキー カットしたとき、そしてドクターチェックの最中は何も思いませんでした。例えば、ドクターチェックの最中に「これはストップになるだろう」とか思うと、再開となったときにとてもガッカリしてしまいますからね。だから、あのときは冷静に様子を見て、試合が再開されたときは、「まだ試合は続くんだ」と淡々とした気持ちでした。
──試合再開後、マッハ選手はドクターストップになる前に勝負に出たようです。
ザロムスキー 彼がそう来たときの準備はできていました。例えば、「何かクレイジーな技を仕掛けてくるんじゃないのか?」という注意はしていましたね。クレイジーな技とは、飛びつき腕十字や飛びつき三角絞めといったような技。コーチのマイケルがこれらの技を仕掛けてくる可能性があると感じたので、しっかり準備するようにという指示をしてくれました。
──決勝で闘ったジェイソン・ハイ選手の印象を教えてください。
ザロムスキー 非常にパワフルでタフなファイターだと思いましたね。
──ハイ戦の勝因は何だったと思います?
ザロムスキー しっかりと頭の中でゲームプランを組み立てて、気持ちの準備も万全だったのが一番の勝因だったと思います。1日に2回トレーニングするのも初めてだったのですが、このトレーニングの成果も大きかったと思います。
──昨日は、優勝したのは“運”もあったとおっしゃっていました。
ザロムスキー はい。“運”は非常に大事だと思います。以前、別の大会でベルトを懸けて闘ったことがあったのですが、そのときも入念に計画を立てて、調子も良かったんですけど、運悪くカットして負けてしまったんです。最高のコンディションでも勝てるかどうか分からない。そこはもう、運が左右してくると思うんです。特に1日2試合を行い、その両方に勝利するとなるとなおさらですよね。しかし、当然、運に頼ることはありません。私はこれからも誰とでも闘います。そして、試合に臨むときは勝ち負けは考えないようにして、とにかくやるべきことをやる。そうすれば結果はついてくると信じています。
■「大工の仕事はやめ、格闘技に専念することにします」
──ザロムスキー選手は、プロ格闘家と並行して大工のお仕事もされているんですよね。
ザロムスキー はい。試合がないときはリラックスする意味でも大工の仕事をしています。でも、今は今大会の準備のために大工の仕事は中断しています。
──仕事仲間には格闘家だという事実を隠していたらしいですね(笑)。
ザロムスキー そうなんです(笑)。以前は秘密にできていたんですが、今はばれています。というのも、YouTubeに私の試合の映像がアップされてしまいましてね(笑)。以前は「その鼻はどうしたんだい?」とか「耳はどうしたの?」と聞かれても、「昔、レスリングをやっているときに切れてしまって……」なんて言っていたんですけど、今はそれでは済まされなくなってしまいました。「試合を観たよ!」とか言われてしまうので、今は試合の話もします。それと、今の仕事の上司は昔フットボールをやっていたんです。だから、職場でもスポーツの話題が頻繁に出てしまうので、隠すことができなくなってしまったんですよ。
──なぜ秘密にしていたんですか?(笑)。
ザロムスキー 毎日毎日、試合のことを考えたり、試合のことが話題に上ると疲れてしまいます。リラックスする時間が欲しかったんです。ただ、今回チャンピオンになりましたし、大工の仕事はやめ、格闘技に専念することにします。
──今回の結果について周囲の反応はいかがですか?
ザロムスキー 大工の仲間もとても喜んでくれているようですし、恋人も凄く喜んでくれました。恋人は寝ずに私の連絡を待っていてくれたようで、私の10倍は心配してくれていたようです……。
──優しい方なんですね。
ザロムスキー ええ、とても素敵な女性です。あと、ジムの仲間もトレーニングを助けてくれましたし、厳しくプレッシャーも与えてくれたので、私が「チャンピオンになったよ!」と言ったら、自分のことのように喜んでくれました。感謝の思いでいっぱいです。
──今後はどういうプランを立てているんですか?
ザロムスキー 今後の計画は柔術やレスリングのトレーニングをして、そしてまた次回日本に来たときにいい試合をします。
──具体的な目標はありますか?
ザロムスキー 先ほどの会見で日記のことを聞かれましたけど、私は決して口にしませんでしたよね? 日記と同様に目標についても自分の胸に秘めておきたいんです。とにかく、一試合一試合を大事にベストを尽くして闘っていくことは間違いありません。日本のファンの皆さんに応援してもらえればとても嬉しいです。またお会いしましょう。
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