- 2009年10月20日
「大阪のファンの皆さんに金網での闘い方というのを見せたい」
弘中邦佳インタビュー- 10・25『OLYMPIA DREAM.12』(大阪城ホール)にて行われるDREAMライト級ワンマッチ、パーキー戦に臨む弘中邦佳にインタビュー。ライト級転向後初となるDREAM参戦を直前に控えた現在の心境を語ってもらった。【取材日:2009年10月14日】
■「ウェルター級のときよりも確実に今のほうが強くなっています」
──『DREAM.12』まで2週間を切りましたが、まずは今の心境から教えてください。
弘中 仕上がりも減量も順調です。ただ、強いて言えば、ライト級で闘うようになってこれまでは全部東京での試合だったんですけど、今回は大阪ということで、最後の減量が心配といっちゃあ心配です。まあ、それもいつもより1〜2キロ落としてから大阪に入れれば問題ないです。
──前回出場した『DREAM.6』から約1年。その間、ライト級に転向し、CAGE FORCEを主戦場として、CAGE FORCEライト級チャンピオンになりました。タイトルホルダーになったことによって何か変化はありますか?
弘中 特に、闘う上で「チャンピオンだからこうしよう」とか「練習量を増やさないといけない」とかはないです。ただ、チャンピオンになったことによって、対戦相手が自分を見たときのオーラとか、そういうのが自然と出てくればなと思っています。そこは、練習も試合もいつもどおりに臨んでいれば、自然とチャンピオンのオーラが出てくるんじゃないかと思います。
──今年からライト級に転向されたわけですが、その理由を教えていただけますか。
弘中 去年、日本のウェルター級トップのマッハ選手とやらせていただいて、あと、これまでUFCに参戦したり、海外のウェルター級の試合を見てきて、これから世界のトップに立つためには自分の長所を生かしていかないといけないなと、改めて思ったんです。そのためには減量とかで甘えてられないと。ライト級まで体重を落とすには、今まで、例えばお酒を呑みに行ったりとか夜更かししたりとか、そういう面もあったんですけど、そこは変えていかないといけない。で、実際、ライト級に落としたら、リーチの長さやフィジカルといった身体的な利点以上に、生活も規則正しくなって、生活面での向上があったんです。試合でも練習でも格段に動きがよくなっているのを感じますし、体脂肪が減ったことによって持久力も上がった。すべてにおいてプラスになっていて、ウェルター級のときよりも確実に今のほうが強くなっているなと感じています。
──今回はライト級に転向して初めてのDREAM参戦となるわけですが、「黄金階級」と呼ばれるDREAMライト級をどのように評価されていますか?
弘中 凄くいろいろなタイプの選手がいますよね。寝技師だったり、打撃が強い選手だったり、いろいろな特徴を持った選手がいます。その人たちに勝つためには、総合力で上回らなければいけない。凄いやりがいのある階級だと感じています。
──先日の『DREAM.11』でライト級新チャンピオンが誕生しました。リングサイドでご覧になっていたと思うのですが、青木真也vsヨアキム・ハンセン戦の感想を教えてください。
弘中 青木君の勝負に対するこだわりというか、そういうところが凄く出ていた試合だったと思います。そういう面は見習いたいなと思いますね。相手の弱点をしつこくしつこく突いていく。昔の僕は相手の土俵に合わせたりすることもあって、そこで痛い目にもあったので、青木君のそういったところは見習いたいなと思いますね。
■「勝って当然。普通にやれば普通に勝てると思っています」
──1年ぶりのDREAM参戦が決まったときはどんなことを思いましたか?
弘中 去年、大阪でDREAMデビューさせていただいて、勝つには勝ったんですけど、いまいちインパクト的には弱かったと思うんです。ですから今回は、キッチリ勝つのはもちろんですが、金網での闘い方というのを見せて、大阪のファンの皆さんに“目から鱗”というか、「あっ、やっぱり弘中は金網の闘い方を知っているな!」と思わせられるような試合をします。
──対戦相手のパーキー選手の印象についてはいかがでしょう?
弘中 ヒザ蹴りとかハイキックのタイミングがいいですよね。身長も高いし、手足も長い。あと、テイクダウンは取られやすいなと。まだ若いからか、荒削りな部分があるなとは思いました。
──パーキー選手は韓国ライト級期待の新鋭。DEEPで3連勝中で勢いに乗る選手です。
弘中 ハッキリ言って、自分的には格下の相手です。パーキー選手は今、勢いに乗っていて、「誰にも負けない」という自信に満ち溢れた時期だと思うのですが、「でも、やっぱり世の中は違うよ」「上には上がいるんだよ」というのを教えてあげたいですね。
──確かに、パーキー選手は4月の『DEEP41』で「私は韓国ライト級最強のファイター。日本ではハン・スーファンなどが有名らしいのですが、私のほうが強いです」ということを言っていましたし、自信に満ち溢れていることが窺えます。
弘中 勝っているときはそうなりますし、逆にそうならないと勝ち続けられないと思います。で、そのような状態から壁にぶち当たったとき、どうできるかがその人の見せ場になるんじゃないですか。だから、今回はちょっと可哀想……というか、パーキー選手が今後強くなっていくためにも、僕がしっかりと壁にならないといけないなと思っています。アジア人が世界で勝つためにはどうすればいいか? これまで僕は世界でも闘ってきて少しは分かる部分もあるので、それを教えてあげられたらなと思っています。決して「潰す」とかそういうわけではなくて、いい選手なんで将来を見据えて、可愛がってあげたいですね(笑)。
──いやぁ……、物凄い余裕を感じます。
弘中 余裕というか、勝って当然だと僕は思っていますからね。勝たなければいけないし、普通にやれば普通に勝てると思っています。
──今回は、リングではなく、ケージでの闘いです。かつてはUFC、そしてここ最近はCAGE FORCE(※両イベントともケージを使用)で闘ってきたことで、ケージでの闘いは他の選手よりも一日の長があると思うのですが、いかがでしょう?
弘中 自分の得意分野という気持ちはあります。リングとは違って、押し込んだときのロープのたわみもないですし、頭が外に出ることもない。故意であろうとなかろうと、腕がロープに引っかかることもないですし、基本、せこいことができないんですよね、金網は。力と力のぶつかり合いというか、逃げる場所のないところでやるという。多分、まだパーキー選手は金網での経験はないと思うんですけど、ビックリするんじゃないですかね。
──ケージでの経験豊富な弘中選手にお聞きしたいのですが、ケージでの闘いの魅力というのを教えてください。
弘中 先程言った、「せこいことはできない」というのもそうですが、リングでの闘いとの違いというと、「ドント・ムーブが掛からない」というのがありますよね。ドント・ムーブが掛かると、少なからず、必ずポジションって変わるじゃないですか? それがない。ポジションも変わらず、逃げ場もないということで、TKOも増えると思うんですよね。見ていても面白いと思います。興行も短く引き締まった興行になりやすいと思うので、笹原(圭一DREAMイベント・プロデューサー)さんも「これからも金網で行こうかな?」みたいに思うんじゃないですか?(笑)。
──今後の目標を教えてください。
弘中 DREAMさんで名前を上げさせていただいて、ベルトを巻いて、いい思いをさせていただこうと思います。そして、DREAMのライト級にはいろいろなタイプの選手が集まっているので、ベルトと一緒に様々なタイプの選手を攻略できるような総合力を付けていきたいと思います。
──大阪のファンにどんな試合を見せたいですか?
弘中 前回の大阪(『DREAM.5』宮澤元樹戦)では、うまく出入りをしていたんですけど、今回はしっかり前に出てプレッシャー掛けていきたいと思います。そして多分、倒してパウンドかサブミッションで終わると思うので、倒したら「終わった」と思っていただきたいですね。期待していただければと思います。
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【『DREAM.12』対戦カード】
■DREAMフェザー級ワンマッチ
前田吉朗(日本/パンクラス稲垣組)vsチェイス・ビービ(アメリカ/HITスクワッド)
■DREAMフェザー級ワンマッチ
藤原敬典(日本/秋本道場ジャングルジャンクション/チームZST)vs宮下トモヤ(日本/パワーオブドリーム)
■DREAMライト級ワンマッチ
エディ・アルバレス(アメリカ/エリートXC/ファイト・ファクトリー)vs菊野克紀(日本/ALLIANCE)
■DREAMライト級ワンマッチ
弘中邦佳(日本/マスタージャパン)vsパーキー(韓国/CMA Korea)
■DREAMウェルター級ワンマッチ
マリウス・ザロムスキー(リトアニア/ LONDON SHOOT FIGHTERS)vsペ・ミョンホ(韓国/CMA Korea)
■DREAMミドル級ワンマッチ
ゼルグ“弁慶”ガレシック(クロアチア/ LONDON SHOOT FIGHTERS)vs桜庭和志(日本/LAUGHTER7)
■DREAMミドル級ワンマッチ
パウロ・フィリオ(ブラジル)vsユン・ドンシク(韓国/チーム・ユン)
■DREAMミドル級ワンマッチ
柴田勝頼(日本/LAUGHTER7)vs石澤常光(日本/フリー)
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