- 2009年10月24日
注目のワンマッチを徹底解説!! 『DREAM.12』開催直前スペシャル!!
青木真也が語る“ケージファイトの魅力”【後編】- DREAM初のケージファイトが行われる10・25『OLYMPIA DREAM.12』(大阪城ホール)開催を目前に控え、DREAMライト級チャンピオンにして大のMMAマニア、青木真也が“ケージファイト”の魅力を徹底解説!! 後編では同大会注目のワンマッチの見どころをレクチャーだ。そして、気になる次戦についても……。それではチャンピオン、お願いします! 決戦は明日!! じっくり読んで大阪城ホールへGO!!!!
──さて、チャンピオン! 前編では“ケージファイト”の魅力について語っていただきましたが、後編ではそれを踏まえた上で、現時点(10/18現在)で発表されている『DREAM.12』注目のワンマッチの見どころについて語っていただきたいと思います。
青木 おすおす!
──まずは、前田吉朗vsチェイス・ビービ!
■DREAMフェザー級ワンマッチ:前田吉朗vsチェイス・ビービ
青木 これはいいカードですよ! 前田選手は、5月の『DREAM.9』で高谷(裕之)選手といい試合をしていましたよね。僕の中での前田吉朗は、凄く大きな選手なんですよ。僕がまだ駆け出しの頃に、パンクラスで連戦連勝、右フックを振れば当たるという“無敵の前田吉朗”を見ているんですよ。ただ、PRIDE武士道で一緒に出るようになった頃には、残念ながら、“不発の前田吉朗”しか見てないんですよね……。一方のチェイス・ビービは、ミゲール・トーレスの前のWECバンタム級王者。最近はちょっと連敗中なんですけど、単純に見てみたいナイスカードですよ、これは。笹原さんも言っていたとおり、お互いが置かれている状況から考えてみても、これはサバイバルマッチと言っていいでしょうね。
──今回、この試合がケージで行われるという点についてはいかがですか?
青木 前田選手はそんなに金網を使ってどうこうっていうファイターじゃないんですよね。いわゆる“超・ジャパニーズMMA”。“打・投・極”が備わったコンプリートファイターなんです。だから、試合としては、前田選手が打撃でプレッシャーを掛けて、チェイスはパンチとレスリングで勝負すると思うんですよ。で、ここが注目ポイントなんですけど、前田選手の強みは「組んでのプレッシャーを相手に掛けながら、パンチもできて、キックもできる」というところなんです。スタンドでの攻防が主になると思うんですけど、ズバリ言うと、前田選手が右フック、あるいはハイキックで倒すんじゃないでしょうか?
──またズバリと(笑)。
青木 まあ、前田選手には勝ってもらわないと困りますからね。勝てると思うんですよね、絶対。やっぱり、日本人選手にDREAMを盛り上げてもらいたいですから。
──一方のビービ選手は、前回(『DREAM.7』)のジョー・ウォーレン戦で、持ち味を出す前に試合が終わったじゃないですか。つまり、見ているファンの方たちもビービ選手の良さを知る前に終わってしまったんですけど、青木選手から見てビービ選手の良さを挙げるとすれば、それはどこですか?
青木 簡単に言うと、“レスラー”ですよね。でも、う〜ん……、こんなことを言ったら怒られちゃうと思うんですけど……。
──な、なんでしょう……?
青木 チェイスはWECでミゲールに負けた後でさらに1敗して2連敗となってWECからリリースされて、DREAMに来ているんですよね。だから、チェイスの状態が今、どんな感じなのかは、正直言って分からないんです。そういう意味でも、僕は期待も込めて、絶対に前田選手には圧倒してもらいたいんですよ!
──なるほど! では、前田選手がビービ選手と闘うにあたって、気をつけないといけないポイントは?
青木 チェイスどうこうよりも、大舞台になると固くなる前田吉朗でしょう(笑)。それさえ克服できれば、圧倒すると思いますよ。前田選手、大舞台で勝ててないですからね……。だからこそ、前田選手にはここで勝って、そういったものを払拭してほしいと切に願いますね!
■DREAMライト級ワンマッチ:弘中邦佳vsパーキー
青木 弘中選手はマッハ戦での敗北から這い上がって来て、ライト級に転向してからは小谷直之選手、永田克彦選手、児山佳宏選手とシブイ選手に勝ってきてるんですよね。
──一方のパーキー選手はどうですか? DEEPで3連勝中の選手ですが。
青木 う〜ん……正直言って、まだ海のものとも山のものとも言えない部分があるんですよ。ストライキングに特化した選手なんですけど、今までの試合を見た限りでは、本物なのかどうなのか、そこの見極めが難しいです。
──勝負のポイントとなるのはどこでしょう?
青木 弘中選手はクレバーな闘い方をするので、テイクダウンを取って潰しにいくと思うんですよね。UFC、CAGE FORCEで闘ってきてケージの特性も理解しているし、テイクダウンしてからの抑え込みも強い。逆に、パーキーがこれで一発KOみたいな試合をしちゃったら、“パーキー幻想”がさらに広がると思います。もちろん、弘中選手もここでしっかり勝って、次の試合に繋げたいところでしょう。
■DREAMライト級ワンマッチ:菊野克紀vsエディ・アルバレス
青木 これも好カードですよね。これは、対峙したときにどれだけ相手にプレッシャーをかけられるか? そこが勝負の分かれ目だと思います。ゴングが鳴った直後に、どっちがどれだけのプレッシャーをかけるかで、おのずとわかると思うんですよ。でも、アルバレスは打ち合いになると、結構ダウンしてるんですよね。あのアグレッシブさが仇になる可能性はあると思います。だから、一発のチャンスを菊野選手がモノにできれば、勝機はありますよね。
──今回は、この一戦と弘中vsパーキーを合わせ、ライト級ワンマッチが2試合組まれています。ライト級チャンピオンの青木選手から見て気になる選手はいますか?
青木 いやいや、菊野選手、弘中選手、パーキー、もちろんアルバレスも、同じ階級で闘ってる選手はみんな気になりますよ。それに、ここまで上がって来るだけでも凄いっていうのは、同じ選手として僕も分かっていますからね。だから、全員に対してリスペクトはあります。
──「いつか闘うことになる相手だ!」といったモードにはなりませんか?
青木 闘うことが決まればそういうモードになると思いますけど、最初からそんなモードで見てたら疲れちゃいますからね(笑)。ニュートラルな気持ちで観戦します。
──あと、現時点(10/18現在)で出場が予定されている選手の中で気になる選手はいますか?
青木 ペ・ミョンホですね(※後日、マリウス・ザロムスキーとの対戦が決定)。パンチもできるし、キックもできる。なおかつレスリングも強くなっているので、他の韓国人ファイターと違って“北米MMAスタイル”ができる選手なんですよ。そういう意味で、僕は前から彼のことは絶賛してたんですよ。
──イチ押しファイターはペ・ミョンホ選手!
青木 しかも、僕が絶賛するとメジャーに上がるっていうジンクスがあるんですね、これが。
──確かに、青木選手はフェザー級GPに出場した大塚隆史選手も以前から絶賛されていて、8月にDEEPフェザー級王者となりました!
青木 だから、期待していいと思うんですよね、はい!
■「いずれ闘う日が来るとは思ってます。そんなことよりも……」
──さて、ここからは青木選手の近況についてお伺いしたいと思うのですが。試合直後のインタビューでは「休みたい」というコメントを出されていたじゃないですか。
青木 それはもう、休んでますよ〜。ただ、僕の中での「休みたい」っていうのは、簡単に言ってしまえば、「周りから振り回されずにいたい」ということなんです。だけど、僕の言葉って、みんなに誤解されやすいんですよね。ちなみに、もっと言うと……。
──チャ、チャンピオン!(怒)。
青木 いやいや、まあ……リフレッシュはちゃんとできてます。って言うか、チャンピオンになって変わったこととか何もないんですよね。
──よくそういう言葉は聞かれるじゃないですか、「チャンピオンになっても、何も変わらない」って。
青木 もう、ホンットに何も変わんないんですよ!(笑)。
──三冠王者(DREAMライト級、修斗世界ミドル級、WAMMAライト級)になっても変わりませんか?
青木 もう、こうなったら四冠、五冠を目指すだけです!
──頼もしい! お約束でベルトを手にした感触というのもお聞きしたいのですが?
青木 僕はモノに対してはあんまり興味がないんです。それよりも、ベルトを取ったっていう名誉が重要なんですよね。だって、某チャンピオンみたいに、僕は外でベルトを着けてたりとかはしませんからね(笑)。
(取材場にいた)笹原圭一DREAMイベント・プロデューサー 青木選手は試合が終わってインタビュースペースにベルトを巻いて来たとき、携帯電話をベルトにかけてましたからね(笑)。
──うそぉ〜!!(笑)。
青木 新しいベルトの使い方でしょ?(笑)。でもまあ、僕の中ではベルトどうこうよりも、これは正直な話、チャンピオンになったことが重要なんですよ。DREAMが始まってから1年半、やっとですからね。ホント長かったんで、そういう部分では嬉しいです。
──ごく近い将来の話になるんですが、大晦日のご予定は?
青木 大晦日は試合をすると思います。
──い……今、め……明言しましたよね?
青木 たぶん(笑)。25日の『DREAM.12』、26日のK-1 MAXが終わったところで仕切り直しというか、そこで「対戦相手はどうしよう?」っていう話になると思うので、まだ現時点では何も話は来てないですから、相手が決まってから考えようとは思ってます。
──そのような状況の中で、『DREAM.11』で改めて川尻達也選手から挑戦表明を受けたわけですが……。
青木 いずれ闘う日が来るとは思ってますけど……。それが大晦日になるのか、ベルトを賭けることになるのか、それは分かりません。そんなことよりも、腹が立つのが「なんでいつも上から(目線)なんだ!」っていう。魔裟斗にKOされた奴がそんなに偉いのかって思いますよ、はい。だってDREAMライト級チャンピオンは僕ですから!
──もちろんチャンピオンシップという話も可能性としてはあると思うのですが、次の試合に向けてのモチベーションというのが気になるのですが。
青木 それは、相手が決まってからじゃないとわかんないっすよね。それと、僕の中では「チャンピオンシップだから」っていうのも関係ないんですよ。とにかく、勝ち続けたいんです。強くなり続けないといけないんです。だって、負けていい試合なんて、ひとつもないですからね。
──青木選手はかねてからおっしゃっていますよね。
青木 別に大晦日じゃなくても、次に試合は絶対にありますからね。だから、焦ってはいません。なんか、僕から大晦日に関してのコメントを出させたいと思ってるんでしょうけど……たぶん、僕は出しませんよ。ただ、一つだけ言えるのは、大晦日だろうが、そうじゃなかろうが、次の試合は絶対にある。その試合に勝つために準備するだけです。
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