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2009年11月30日

「ビビアーノを討つための布石となる相手なら誰でもいい」
前田吉朗インタビュー

10・25『OLYMPIA DREAM.12』(大阪城ホール)で行われたフェザー級ワンマッチでチェイス・ビービに勝利した前田吉朗にインタビュー。元WEC王者を破った前田に、大晦日、DREAMフェザー級王座への思いを語ってもらった。【取材日:2009年10月26日】

■「やっぱり“ハート”だと思います」

──チェイス・ビービ戦勝利、おめでとうございます。
前田 ありがとうございます。いやぁ、嬉しいですね。久しぶりに大阪で爆発できたということと、DREAMであのレベルの選手にやっとちゃんとした勝ちができたということが、ほんま嬉しいです。完勝だったと思います。
──最後はチョークスリーパーで一本勝ちを収めましたが、あのフィニッシュはイメージしていましたか?
前田 全然全然(笑)。一番イメージしてないパターンでしたね。ミドルは多用していこうと思っていて、そこからパンチかパウンドで決めるんかなと思っていたんですけど、はい。

──実際に闘ってみたビービ選手の印象を教えてください。
前田 “キワ”の部分はやはり巧かったですね。金網際で僕、ちょっと強引に立ち上がったシーンがあったんですけど、チェイスはその立ち際にヒザ蹴りを打ってきて、3回くらい結構いいヒザをもらっちゃいましたから。
──一番の勝因は何だったと思いますか?
前田 やっぱり“ハート”だと思います。今回は誰が何を言おうが関係なく、腹括って自分の思ったとおりにしようと決めて試合に臨んだんですよ。だから、試合前も試合中も「こうなったらどうしよう?」とかのブレた気持ちは一切なく、それが勝利に結びついたんだと思います。
──今回の一戦というのは、もちろん結果もそうですが、そういったメンタル面でも大きな収穫があったと。
前田 そうですね。この試合に来るまでにしっかり気持ちを作れた。これは本当に大きかったです。試合前にオフィシャルのインタビューでも言いましたけど、ふと、自分の在り方とかを改めて考えたときがあったんですよ。そこからメンタル的にいい状態に持っていくことができて、すべてがいい方向に行った感じがします。
──勝利した瞬間は凄い盛り上がりでした。
前田 「やっと帰ってきたな〜」という感じでしたね。どれくらいぶりかなぁ? 何年ぶりってくらいのお客さんとの一体感だったので、「来たぁ〜!!」って感じでしたね(笑)

■「大晦日に出てやっと一人前の格闘家と呼べると思うんすよ」

──『DREAM.12』はDREAM初のケージを導入しての大会でした。前田選手はアメリカのケージも経験されていますが、それを踏まえた上でDREAMのホワイト・ケージはいかがでしたか?
前田 いやぁ、デカかったっすね。多分、アメリカで使われているケージよりもデカいと思うんすけど、色のせいもあるんですかねぇ? ケージの材質の違いとかはあまり気にならなかったですけど、とにかくデカかったので、僕としては気持ちよくできました。
──ケージが大きいことによって前田選手にどんな利点があるのでしょう?
前田 足を使って動き回れることですね。足を使って打撃をするタイプの選手はやりやすいと思います。逆に足を止めて打ち合うタイプの選手とかは、相手を追い詰めやすいリングのほうがやりやすいんじゃないですかね。まあ自分も、「やりやすい」というより「嫌いじゃない」というレベルです。闘う上でそこまで大きな違いというわけではないですから。
──DREAMではこれからも一年に一回、ケージのイベントを行っていくようです。
前田 毎回出たいっすね(笑)。
──試合後には12・31『FieLDS Dynamite!! ~勇気のチカラ2009~』(さいたまスーパーアリーナ)参戦もアピールしました。
前田 大晦日はステータスのある舞台なので、やっぱりそこに出てやっと一人前の格闘家と呼べると思うんすよ。で、今回、気持ちをしっかり作れて結果も付いてきたので、言ってもいいかなと思ってアピールさせてもらいました。
──試合後は「フェザー級GPが終わったばかりなので、まだ(希望する対戦相手の)名前は出せない」とおっしゃっていました。
前田 正直、相手は誰でもいいんですよ。ビビアーノ(・フェルナンデス)を討つための布石となる相手なら。これ(ビービ戦)勝っただけでいきなりチャンピオンに挑戦させてほしいと言うのは、いくらなんでも「むしがええかな?」と思うので、はい。
──DREAMフェザー級チャンピオン、ビビアーノ選手の印象は?
前田 単純にデカくて強いですよね。全部揃っている感じがします。デカい、速い、巧い。とにかく闘い方が巧いんですよね。(ジョー・)ウォーレン戦のときは焦ることなく下になって極めて、番長(高谷裕之)とやるときは下になることを避けて闘ったじゃないですか。相手によって闘い方を変えられるのは凄いと思います。
──最後に今後の抱負をお願いします。
前田 今は凄くまとまった練習ができているので、このペースを続けていきたいと思います。メンタル面もこの状態をキープしていきたいですね。やっぱり最後は“心”なんですよ。心がノッてなかったら、どんだけ技術があっても勝てないですからね。紙一重の勝負なら特にそうで、心がダメだと譲っちゃう部分がどこかに出てきちゃいますから。そういう意味で、今、“心技体揃った自分”というのが完成しつつあるんですよ。それが完成したところに、ちょうどビビアーノ戦というのを持っていきたいと思っています。日本人チャンピオンが誕生するのを楽しみにしていてください。僕がチャンピオンになります。