ホーム>

ニュース


2009年6月22日

「僕を表現するという意味では、ジダは一番やりやすい相手だと思います」
菊野克紀インタビュー

7・20『HEIWA DREAM.10 ウェルター級グランプリ2009決勝戦』(さいたまスーパーアリーナ)で行われるライト級ワンマッチでアンドレ・ジダと対戦する菊野克紀にインタビュー。DREAM初参戦に向けての意気込みを語ってもらった。【取材日:2009年6月16日】

■「これまで僕と闘ってくださった方々に恥じない試合をしたい」

──DREAM初参戦が約1ヵ月に迫りましたが、今の心境から教えてください。
菊野 高校三年生のときにPRIDEとかを見て、こういうデカい舞台で凄く強い人たちと闘うことに憧れていたので、いよいよその舞台が近づいているということで、とても気合いが入っています。
──高校時代に総合格闘家になることを目指し、卒業後に始めたのは極真空手ということですが、これはどういった経緯だったんですか?
菊野 中学、高校は柔道をしていて、その後すぐに総合格闘技をしようと思っていたんですけど、自分、地元が鹿児島なんですけど、東京に出るお金がなかったんですね。ですので、東京に行くためのお金を稼ぐために仕事を始めて、それと同時に近くで格闘技できるところはないかと探していたら極真の道場があったんです。そこにたまたま木山仁(第8回全世界空手道選手権大会王者)先輩がいたんです。極真を始めたキッカケはたまたまだったんですけど、この出会いがなく、あそこで極真をしてなかったら、総合を始めていても途中で諦めていた可能性のほうが高いと思います。やっぱり極真、しかも内弟子というのは、すんっっっごい心身ともに鍛えていただけるんですよ。それまでは甘っちょろく、自分に負けることばかりでしたからね。

──当然、今のファイトスタイルというのも?
菊野 ないですね。絶対になかったと思います。
──DREAMにはどのようなイメージを持っていますか?
菊野 華やかですよね。一般の格闘技に興味ない方にも、“DREAM”とか“大晦日”と言えば、分かってくださる。他とは全然違う舞台だなと感じています。
──そのDREAMからオファーを受けたときは、どんな気持ちでしたか?
菊野 DEEPのチャンピオンになる前までは、DREAMというのはまだまだ遠い存在というか、まだ上の世界だなと思っていたんですけど、いざチャンピオンになってそのようなお話をいただいて、一気に身近なものになったというか、これから僕が勝つ世界なんだなと感じました。
──初のメジャー挑戦にあたり、師匠の高阪(剛)さんからはどんなアドバイスをもらいましたか?
菊野 高阪さんはずっと僕たちを世界の強豪と闘える選手になるよう育ててくださっているので、今回の僕のDREAM参戦も、高阪さんにとっては“ただの過程”ですよね。僕もそうですけど、「これからだぞ!」ということを言われています。
──菊野選手が臨むDREAMライト級は“黄金のライト級”とも呼ばれていますが、DREAMライト級をどのように評価されていますか?
菊野 いやぁ〜〜〜、しんどい階級ですよね、ホントに(苦笑)。日本人も外国人も弱い選手なんて一人もいない。バケモノばかりですからね。でも、僕もDEEPで強い選手と闘って上がってきたという自信がありますので、胸を張って、DREAMの強い人たちと勝負して勝ちたいと思います。
──現DEEPライト級王者としてDREAMに上がるわけですから、当然DEEPの看板も背負ってリングに上がると。
菊野 もちろんそうです。ここでコロッと負けたら、「DEEPから上がってきたけど、こっちでは通用しないな」という評価になってしまいますし、この空手スタイルも「レベルが上がると通用しない」と言われてしまいます。そこはやっぱり勝つことにこだわって、これまで僕と闘ってくださった方々に恥じない試合をしたいと思っています。7月20日、DEEPのチャンピオンとしてしっかりジダ選手をブッ倒します。

■「ヘタしたら秒殺できるんじゃないかと思います」

──DREAM初参戦の相手はアンドレ・ジダ選手です。
菊野 その話をいただいた瞬間、ニヤッと笑みが出ちゃいました。僕を表現するという意味では、一番やりやすい相手だなと思いますからね。
──ジダ選手の印象は?
菊野 手が長くて、速くて、威力もある。台風みたいですよね。彼の距離、リズム、空手で言ったら“間”ですけど、その“間”に巻き込まれたら、絶対に勝てないと思います。
──タイプ的に菊野選手とは違うストライカーだと思うんですけど、正直、ジダ選手のようなストライカーはやりやすい、やりにくい、どちらでしょう?
菊野 確かに、僕は空手がベースとなっていますし、彼はムエタイ、キックがベースとなっているので、まったくタイプは違うと思います。やりやすいかどうか、僕もあそこまでのレベルの選手と闘ったことがないので、分からないというのが正直なところなんですけど、彼のリズムじゃなく、自分のリズムで闘うことが大事だと思っています。彼の距離やリズムを殺す自信はあります。
──ズバリ、KOする自信は?
菊野 それももちろんあります。ヘタしたら秒殺できるんじゃないかと思います。打ち合いというよりは、僕は空手をやっていたので、一発ももらわずに一撃で倒すというところを意識しているんです。打ち合いというのは、完全にスポーツの中のことですからね。これが路上で相手がナイフを持っていたら、打ち合いは成立しません。それこそ、ナイフで刺されるかもしれないくらいの気持ちで、一撃で倒す。それを彼にも実践しようと思っています。
──対策も万全だと。
菊野 対策というよりは、イメージですね。僕は相手に合わせてどうこうというタイプではないので、どうしたら自分の一撃を当てられるかというイメージをしているのですが、(ジダの映像を)見れば見るほど一撃を当てるイメージが上がってきています。
──これまでの総合格闘技の歴史を見ると、日本人空手家は総合格闘技で苦汁をなめ続けてきました。長らく「総合格闘技では空手は通用しない」と常識のように言われてきたことを覆してやるという気持ちはありますか?
菊野 それはあります。これまで「フルコン(タクト空手)の選手は総合では歯が立たない」とか、「弱い」とすら言われたりしました。僕も同じようなことを言われたことがあります。でも、そこで僕が「それは違う!」と言い返しても、相手には響かないわけですよね。なぜなら、それを実際に闘って証明してないからです。僕は極真空手を6年間学ばせていただきましたが、僕の空手なんて極真の中では大したことないんです。到底、空手を背負うなんてレベルではありません。ただ、極真を6年間、一生懸命頑張ったという自信と、空手への感謝の気持ちは凄くあります。「そんな蹴り方じゃあダメだ」「そんな構えはダメだ」と僕も言われてきて、最初はやはり痛い目を見ましたが、僕としては真剣に勝つ手段ですからね。だから、「空手はこんなに凄いんだぞ!」ということを示したいです。
──先の話になってしまいますが、今後、DREAMで闘ってみたい選手はいますか?
菊野 青木真也選手に対して、尊敬する気持ちと、闘って勝ちたいという2つの思いがあります。物凄い選手ですよね。どんな相手、どんな状況でも一本を取る。武道をやっている身として、武道家の匂いを感じるんです。相手のいいところを消して、仕留める。完封ですよね。相手の力をゼロにして、しっかり極めて勝つというのは、物凄いことだと思います。僕も打撃でそういうのを目指したいんです。相手に何もさせずに、一撃で仕留める。そのような打撃と寝技がぶつかったことを想像するだけで、物凄く楽しみなんですよ。僕の一撃が当たれば勝つし、外したら掴まれて負ける。宮本武蔵の気持ちになれるんじゃないかと思いますね。
──今回、初めて菊野選手を見るファンにどんなところを見てもらいたいですか?
菊野 これまで僕は柔道と空手をやってきました。つまり、日本の武道の出身なんですね。柔道と空手には、日本人だからこそ使える技術というか、日本人だからこそ発揮できる良さというのが、いっぱい含まれています。今回、それを活かして、皆さんに日本人が外国人に勝つ姿を見せて、「日本人ってスゲエんだぞ!」「日本の武道ってスゲエんだぞ!」っていうのを見てもらって、日本人であることにちょっと誇りを持ってもらえたら、そういうキッカケになれたら嬉しいですね。
──最後にファンへメッセージをお願いします!
菊野 7月20日の『DREAM.10』でアンドレ・ジダ選手と闘います。皆さんがビックリするような試合をお見せしたいと思っていますので、楽しみにしていてください!
──楽しみにしています!!