- 2008年9月18日
「勝ちます。勝たないと生きていけないんで」
船木誠勝インタビュー- 9・23『OLYMPIA DREAM.6 ミドル級グランプリ2008 決勝戦』(さいたまスーパーアリーナ)のミドル級ワンマッチ、ミノワマンと対戦する船木誠勝に直撃。かつての後輩であるミノワマンとの一戦を控えた今の心境を語った。【取材日:2008年9月11日】
■「燃えカスが残らないように、最後の最後まで諦めないです」
──『DREAM.6』ミノワマン選手との対戦が決定しました。今の率直な感想を教えてください。
船木 モヤモヤはまったくないですね。
──復帰後、桜庭和志戦、田村潔司戦に続き、今回も昔からよく知っている選手が対戦相手となりました。
船木 そうですね。やっぱり途中から復帰して出てきた人間なんで、どうしてもそういうカードしか当たらないですね。最近思うのは、自分の生き場所が定まらなくなってるような感じがします。自分でどこにいるのか、わけ分かってないですから。とにかく闘わなければと。自分自身が「なんで復帰したのか?」をしっかりと感じたい。それが今回の試合で分かるような気がします。
──そういった揺れている心境の中で、会見では「介錯」という強い言葉が出ました。
船木 ミノワマン選手からしてみれば、自分は倒して当たり前の選手だと思うんです。そういう意味で、やるんであれば遠慮なしできてほしいと。ただ、それ(介錯)をやられるために試合に行くわけじゃないんで、そういうふうな展開になれば、おそらく自分の本当の燃えたぎる気持ちが出てくることを信じて、できる限りの抵抗をしたいですね。
──「介錯」という言葉を聞いたときに、どうしても引退を意識し始めたのかなと思ってしまったんですが。
船木 いえいえ、もう一回死んでますから(笑)。ただ、ダラダラと甘えて試合に出してもらいたいという気持ちはさらさらないんで、意味がある闘いができるんであれば、これからもずっと出たいです。ただ、復帰をしてもなんの成果もなしに、また同じような内容の試合しかできないのであれば使われなくなると思います。そういう力があるのかないのか、今回の試合で晒されると思うんですけどね。
──逆に言えば、不出来な試合しかできないんじゃないかとご自身で判断した場合には……。
船木 先程も言いましたが、もう一回死んでますからね(笑)。でも……そうですね、やっぱりどっかで線は自分で引っ張っていかなければいけないとは思います。たぶん、もしやられた場合、やられたときの自分の気持ちで、おそらく決まると思いますね。最初から「じゃあ、負けたらもう引退」というふうには言いたくないです。それは前回の引退のときに感じたことなんで。燃えているものが1%でもあるんであれば、最後まで燃やし尽くしたい。その燃えているものがあるから戻ってきたんで。長い人生を経て燃えカスが残らないように、最後の最後まで諦めないです。
■「周りに流されず、自分の歩き方で、我が道を歩いている感じです」
──ミノワマン選手のことを「非常に成長した」とおっしゃってましたが、現在のミノワマン選手に対し勝算というのは?
船木 自分の中では、技が決まれば絶対に勝てると思いますね。それはもう「絶対」という言葉が使えると思います。打撃でも関節でも、タイミングよく当たれば、タイミングよく極まれば、仕留める自信はありますね。ただ、決まらなければ本当に意味がないんで、そういう意味では分からないですけど。
──そこまで言い切れるのは復帰して初めてのことだと思うんですけど、それだけ手応えがあると?
船木 そうですね。前回から4ヶ月ぐらいバッチリ練習の時間が割けたということ、それと前の試合の反省点も含めてしっかりとトレーニング三昧の生活を送れたことが自信になってますね。
──不安な点はないですか?
船木 ないです。ここまできたら、いくとこまでいくだけです。
──ミノワマン選手はどういう心境だと思いますか?
船木 彼の目線から見れば、自分はこの世界に入ってきたときの先輩であり、師匠と呼べるかどうかは分かんないですけど、そういう存在が自分なんだと思います。自分は一回引退しましたので、彼にしてみればおそらく二度とリングに上がって闘う機会はないと思ってたと思うんです。それが運命として巡ってきたというのは、感慨深いものがたぶんあると思うんですよ。その反面、試合なんでやらなければやられてしまう、そういう怖さも感じていると思うんで、おそらく非常に緊張感のあるミノワマンが登場すると思います。そう感じていますね。
──ミノワマン選手がパンクラスに入団した頃のことって覚えてますか?
船木 彼は一回入門テストに落ちてるんですよね。その一年後に誠ジムというジムから『ネオブラッドトーナメント』に出場してきて、3位になったんです。いきなりプロじゃない団体からトーナメントに出場していい成績を残したということが、すごく印象にありますね。「ずいぶん、この一年でいろんな経験をしたんだな」と。聞いたら、いろんなアマチュアの大会で試合をこなして経験を積んできたらしいんですね。ですから、パンクラスに入門してからすぐに自分のスパーリングパートナーになりましたね。
──どのあたりがミノワマン選手の長所なんでしょう?
船木 ずっと歩いてるんですね、彼は。止まらないんですよ。勝っても負けても止まらないで歩き続けている。理想的だとすら思いますね。「生きてるな」と感じます。周りに流されず、自分の歩き方で、我が道を歩いている感じです。闘い方も同じですね。パンクラス時代と比べると、伸び伸びとしている感じがします。聞くところによると、練習場もいろんな所に行ってるらしいんで、自由に生きているというイメージがあります。龍道場(ドラゴンドージョー)に来たときに一度彼の練習を見たんですが、龍道場の練習ってすごいキツいんで、「ヘブン」を通り越して「ヘル」になって帰って行きました(笑)。それでもなんか、ニヤニヤしながら帰って行くんですよ。やっぱり動いている自分が嬉しいんでしょうね。生きている実感というか、キツイ練習ができるのが。
──そんなミノワマン選手と今回、どんな闘いになると思いますか?
船木 いい緊張感のあるミノワマンが出て来ると思います。一瞬でも「首を刈りにきた」という感覚がよぎったら、刈らせないように抵抗するしかないと思います。復帰して1試合目はリングに立つことが精一杯で、2試合目は攻撃を出すことに精一杯だった。今回は三度目の正直で、ちゃんとした試合がしたいですね。それで結果が出ればいいなと思います。
──最後に改めて意気込みをお願いします。
船木 勝ちます。勝たないと生きていけないんで。「肉を斬らせて骨を断つ」じゃないですけど、かなりリスクのある闘いになると思います。
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